第224号:法政大学での就業力GPシンポジウム

文科省事業である「就業力GP」については、このメルマガをご覧の皆さまにも関係している方が居られると思いますが、これが事業仕分けにより中断するという連絡が新年早々に飛び込んできました。既に来季授業の手配に入っている時期に大変なことですね。私が研究室を戴いている法政大学もその中の1校ですが、来る2月23日(木)に公開シンポジウムを開催し、我々の活動報告を行います。学内・学外の多くの意見交換できればと思います。

 

このシンポジウムは、今回の文科省の連絡に際して企画したものではなく、当初からこの1年間の活動報告として計画されていたものです。大学の授業は必ず就業力(仕事に就く力、仕事をやりきる力)につなげられるという信念でいろいろな試行錯誤をして参りました。主に以下のようなものですが、今回のシンポジウムではこれらの開発・試行状況を各担当教員がご紹介いたします。

 

1.大学の学びを就職・仕事につなげられる授業の開発

2.就業力が評価出来る手法(アセスメント)の開発

3.他大学でも利用展開できるビデオ教材の開発

 

まだまだ試行錯誤の段階のものも多いですが、今年の目標はこれらの成果を法政大学だけではなく、広く他大学の教職員や企業人事の方々にも評価して戴き、そのご意見を伺いながらより世の中で通用するものにしていきたいということです。そして、その成果を社会に返していきたいと思います。

そんな中で今回の事業中断の告知は、いきなり梯子を外されたような気分でした。しかし私は、これは本当に大学が主体性を発揮できるかどうかの試練であり機会だと考えています。学内連携のみならず、学外連携、産学連携、そうした理想を実現できるかのチャレンジです。

 

入学時期の変更等の改革も良いでしょう。しかし、本当に成すべきことは授業改革であり、その魅力から学生を惹き付け、育て、企業に自信をもって推薦できる人材にする。そして企業からも選ばれる。そんな初夢を今年は実現に向けて踏み出したいと思います。就業力の育成は授業を通じた就職支援、法政大学の覚悟を聴いて戴ければ幸いです。

 

以下、参考サイトURL:

▼法政大学就業力GPシンポジウム案内(どなたでも参加できます。)

http://3step.hosei.ac.jp/data/2011/12/5cbf529c8ae5ffe35e79e8ef7496e242.pdf

▼法政大学就業力GPニューズレター(第10号)

http://3step.hosei.ac.jp/data/2012/01/65e7f00ec55f6a9bb15b42dfa67e450f.pdf

▼法政大学就業力GP広報サイト

http://3step.hosei.ac.jp/

 

第223号:就活4年生にマッチする新卒人材紹介

成人式の連休が終わり、いよいよ世間も本格的な仕事始めとなりました。3年生に向けた企業セミナーが積極的に開催されていますが、その陰で就活4年生(2012年卒)は苦労しています。年末に私の方にも何人かの相談があり、ここはと思う企業の採用担当者に相談をしてみましたが、なかなか対応して戴けません。就職課の皆さんはそういうわけにはいかないでしょうが、企業では2世代同時対応というのは、相当に難しいことです。そんな中でいま一番、頼りになるのは新卒人材紹介だと思います。

 

就職活動を継続中の4年生の背景は様々です。昨春からの度重なる失敗、資格試験不合格、大学院進学不合格等々、年々その理由も多様化しているようです。しかし、採用担当者はキャリアカウンセラーではありませんので、学生の事情を聴いてそれぞれに個別対応するということは普通はありえません。というよりも採用選考プロセス上、非常に困難なのです。特に大手企業の場合、新卒採用プロセスは説明会の会場、面接官の手配、最終決定する役員のスケジュールの調整等、準備するものが多いので小回りが利きません。(役員や上司を説得するのも大変なのです。)

 

年末に馴染みの数社の採用担当者の方に「補欠採用とかで空きはないですか?」と頼んでみましたが、回答は「ご事情はわかりますが4年生は完全に締め切ってしまったので、2013年卒者としてしか受け付けられません。」とのこと。つまり「留年して下さい」ということですね。これが留学生ならば、出遅れたことが就業力の向上に資すると想像できるので、まだ何とか余地はありそうでしたが。

 

さて、こんな中で頼りになるのは、新卒人材紹介ですね。これまで人材紹介は新卒ではあまり発展しないと思われてきましたが、大企業でもどうしても数名の追加採用をしたいとか、中小零細企業でやっと今期の目処が見えて来期(4月)から新人を採りたいという企業にはぴったりマッチします。皮肉なものですが、超早期化で4年生がこの時期に就職できなくなってきたということと、ネット経由の大量母集団形成型の採用活動があまりにコスト(金銭、時間、人権費)がかかるようになってきたからですね。完全成功報酬型(内定が出たら紹介料を払う形態)であれば企業採用担当者も求人は出しやすいです。国もそこに補助金を出せば良いと思います。または3年生の就職支援にハローワークの職員を大学に派遣するくらいなら、相談員ではなく4年生向けの求人情報提供者(紹介者)であって欲しいものです。

 

もうひとつ新卒人材紹介の良いところは、採用選考が終わった後に、応募企業からフィードバックが貰えることです。一般の新卒採用選考においては、特別な意図がない限り、面接のフィードバックは行いません。すぐにネット上に流布して選考がフェアではなくなりますし、その回答が変に一人歩きするリスクもあるからです。しかし人材紹介業者には率直に話をすることができます。特にこの時期に内定のない4年生は、自分自身の言動に無頓着な方や自己中心的な方が多いように見受けられますので、親や就職課とは違う第三者の客観的なフィードバックが重要です。

 

最後に、採用担当者は中途採用では必ず退職・転職理由を尋ねます。その際、ネガティブな理由ではなかなかアピールになりません。4年生も同様にタテマエであろうがなんであろうが、出遅れた理由について納得できるように話して欲しいものです。できれば空元気でも一所懸命に。