平成24年度から始まった文部科学省の補助金事業の「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」がこの3月で終了いたします。私も法政大学でこのプロジェクトに取り組み、早いもので4年が経ちました。初年度に教えた1年生と一緒にプロジェクトが終了するわけですが、法政大学では来年度もこのプロジェクトを継続することになりました。
去る2月に、この事業に参画している100校以上の大学教職員と共に、当プロジェクトの活動報告を文科省に対して行いました。評価委員の方々からは「評価指標に課題はあるが、その成果(アセスメントツールやビデオ教材等)を今後は学内外に展開して下さい。」という好意的な評価を戴いたことは嬉しいことでした。これまでアセスメントツールでは1000人以上、ビデオ教材では延べ1万人以上の学生を相手に評価や授業を行ってきました。まだまだ改善の余地はたくさんありますが、私たちの理念や方向性に間違いはないことを確信できました。
そもそも、法政大学ではプロジェクトの開始時期から、学内だけではなく他大学にも展開できるコンテンツを制作するというのが目標でした。この4年間の成果は、評価委員から指摘されたとおり、外部評価指標が十分とは言えません。しかし、その手応えを日々感じ始めております。というのは、文科省の報告後、初対面の大学の方々から多くの問い合わせを戴くようになり、対応に追われております。教育事業というのは、定量・定性評価がとても難しいと思いますが、このように同業の仲間から戴く関心は、なによりの評価だと感じています。
来年度も新しいコンテンツの開発は継続していきますが、同時に法政のコンテンツを用いた授業やワークショップの研究会を、大学教職員を対象に定期的に開催して参ります。最初に取り組むのは、ビデオ教材を使用した授業の講習会で5月から始め、実際の授業見学会や、模擬授業などを予定しております。私たちのビデオ教材は、実際にあった仕事の事例を元に作成しておりますので、撮影に協力して戴いた企業人事の方にも加わって戴き、仕事に求められる資質と大学の学びの関係を議論していきたいと思います。
数号前のこのコラムで「今後の新卒採用担当者の業務は、リクルーター、インターンシップ、キャリア教育、アウトソーシングの4つに集約される」とお伝えしましたが、来年度の法政の取組では、このキャリア教育に対して仕掛けていこうと企んでいます。就職課職員も採用担当者も先行き不透明な就職・採用活動において、もっとも正確な予測は自分たちで未来(既成事実)を作ってしまうことですから。
未知の分野に挑む卒業生達に負けないように、不安を期待とやり甲斐に変えていく攻めの来年度にしたいものですね。