この時期は大学や学生からの就職相談も模擬面接の実施やエントリーシート(ES)の添削等のより実践的なものが多くなってきていますが、なかなかそこまでできない方も居られます。就活のペースは人ぞれぞれですが、そんな出足が遅い方を見ていて気づいたのは、実践でやってみる試みが少ない点です。その原因は「バカの壁」ならぬ「恥の壁」のようです。
メディア報道によると今年の就職シーズンは売り手市場だそうです。バブル期ほどではないにしても採用担当者の意欲が高まっているのは確かで、そのせいかどうかわかりませんが、学生の動きは昨シーズンよりも危機感が低いように見えます。実際は、動きの早い学生、マイペースの学生、のんびりした学生等、就職活動の進め方が多様化しているせいかもしれません。いずれの学生にしても就職の準備を進めておりますが、その進め方にもじれったいものを感じることがあります。
模擬面接や自己PRは実体験学習に勝るものはないのですが、模擬面接でも「まだ準備ができていないので・・・」と遠慮されたり、ESについても書き方についての個別の質問は多いのですが、いざ自分で書いたものを持ってくることがなかなかできない方が居られます。おそらく、「こんなレベルではまだまた恥ずかしくて・・・」という心理なのでしょう。それは日本人独特の美しい感覚だと思います。「恥」は日本の文化であり、その根底には「向上心」がありますから。
しかし、今の若者の就職活動の「恥の壁」は、そういった向上心というより、「失敗したくない」「失敗が怖い」「失敗してはいけない」という気持ちの方が大きいような気がします。その気持ちも分かりますが、時期が秋ならともかく、今は実践を繰り返しながら学習していく時期なので、この「恥の壁」を如何に乗り越えるかが大事だと思います。
今の時代は少子化のせいか、なかなか失敗ができない(浪人したくても現役で大学に入れちゃう)時代ですから、チャレンジ精神が育ちにくいです。是非、頑張って積極的に失敗し、そこから学んで欲しいと思います。その方が学習効果も高く、しかも速いですから。
失敗を一度もしない人よりも、失敗をしても立ち直れる人の方が強いと思いますし、企業も求めていると思います。「あなたが経験した最大の挫折や試練はなんですか?それをどうやって乗り越えましたか?」多くの企業が面接で問いかけていますよね。