第45号:グループ採用企業の課題

GWを前に企業の内定出しも進み、採用担当者としては内定者の入社意志の確認に神経を使う時期になりました。学生からの相談内容もこれまでの自己紹介や面接対策から、内定を貰った企業に行くべきか辞めるべきかという相談が増えてきています。最近、ちょっと気になる相談は、グループ採用を行っている企業の内定者からのものです。ネット時代になって応募者の採用選考プロセスがしっかり管理できるようになった反面、新たな課題が出てきたようです。

企業のグループ採用とは、一般に複数の関連会社(子会社)をもつ本社(親会社)がその知名度を活かして関連会社全体の広報活動および採用応募の窓口を行うものです。企業にとっては知名度の低い関連会社の採用広報を支援でき応募者の管理も効率化できますが、応募者にとっては募集内容が関連会社間で待遇が違っていたり、最終的に自分が何処の会社になるか不明確という不安な面もあったり、たまに法律的な問題(雇用条件を明確にせずに内定を出す場合等)になることもありました。

今回の学生さんの相談は、グループ採用企業内の数社に応募していたところ、幸いにもその中の1社に内定したというもの。ところがこの応募者は同グループ内の他の関連会社が第一希望で、並行して採用選考を受けていたのですが、先に内定した企業から入社意志確認の誓約書の提出を求められてしまったのです。勿論法的には、誓約書を出したとしてもその後の採用活動を拘束することはできませんが、グループ内の他企業を受けることは、すぐにわかってしまうのではないか、と心配しておりました。仮に、第一希望の企業に内定したとしても、先に内定した企業を辞退するのにグループ内他企業に入社するのは言いにくいことでしょうね。

本来であればグループ採用を行う企業は、こういったグループ内の併願問題については事前に応募者へ明らかにすべきことなのでしょうが、残念ながらまだ徹底している企業は少ないようです。最近ではグループ企業内に人事アウトソーシングの専門会社を作り、応募者のデータを一括管理するところも多いですから、企業側の方で学生の併願状況を把握することは技術的には容易になったことでしょう。しかしその情報の取扱には細心の注意が求められます。

今回の相談のように、応募者の受付情報を一括管理してグループ内の関連会社に配信することは許されても、その応募者の採用選考が進んで関連会社毎の採用面接結果情報をまとめて共有することは許されるか、という点は問題です。まだこれについては判例も無いようですが、先日、企業人事労務関係者の勉強会でこの問題を議論したところ、とある企業では倫理上の問題から例えグループ内企業であっても採用選考情報(つまり誰が内定したかという情報等)については情報交換を禁止しているとのことでした。

ITが進み、個人情報の取扱がますます容易になってきておりますが、だからこそこういった情報を扱う採用担当者には最新の注意が求められてきています。間違っても、自社の内定者に対して「君は、うちの親会社を受験しているよね?どうする気なの?」なんて質問はうっかりでは許されないでしょう。

GWを前に企業の内定出しも進み、採用担当者としては内定者の入社意志の確認に神経を使う時期になりました。学生からの相談内容もこれまでの自己紹介や面接対策から、内定を貰った企業に行くべきか辞めるべきかという相談が増えてきています。最近、ちょっと気になる相談は、グループ採用を行っている企業の内定者からのものです。ネット時代になって応募者の採用選考プロセスがしっかり管理できるようになった反面、新たな課題が出てきたようです。

企業のグループ採用とは、一般に複数の関連会社(子会社)をもつ本社(親会社)がその知名度を活かして関連会社全体の広報活動および採用応募の窓口を行うものです。企業にとっては知名度の低い関連会社の採用広報を支援でき応募者の管理も効率化できますが、応募者にとっては募集内容が関連会社間で待遇が違っていたり、最終的に自分が何処の会社になるか不明確という不安な面もあったり、たまに法律的な問題(雇用条件を明確にせずに内定を出す場合等)になることもありました。

今回の学生さんの相談は、グループ採用企業内の数社に応募していたところ、幸いにもその中の1社に内定したというもの。ところがこの応募者は同グループ内の他の関連会社が第一希望で、並行して採用選考を受けていたのですが、先に内定した企業から入社意志確認の誓約書の提出を求められてしまったのです。勿論法的には、誓約書を出したとしてもその後の採用活動を拘束することはできませんが、グループ内の他企業を受けることは、すぐにわかってしまうのではないか、と心配しておりました。仮に、第一希望の企業に内定したとしても、先に内定した企業を辞退するのにグループ内他企業に入社するのは言いにくいことでしょうね。

本来であればグループ採用を行う企業は、こういったグループ内の併願問題については事前に応募者へ明らかにすべきことなのでしょうが、残念ながらまだ徹底している企業は少ないようです。最近ではグループ企業内に人事アウトソーシングの専門会社を作り、応募者のデータを一括管理するところも多いですから、企業側の方で学生の併願状況を把握することは技術的には容易になったことでしょう。しかしその情報の取扱には細心の注意が求められます。

今回の相談のように、応募者の受付情報を一括管理してグループ内の関連会社に配信することは許されても、その応募者の採用選考が進んで関連会社毎の採用面接結果情報をまとめて共有することは許されるか、という点は問題です。まだこれについては判例も無いようですが、先日、企業人事労務関係者の勉強会でこの問題を議論したところ、とある企業では倫理上の問題から例えグループ内企業であっても採用選考情報(つまり誰が内定したかという情報等)については情報交換を禁止しているとのことでした。

ITが進み、個人情報の取扱がますます容易になってきておりますが、だからこそこういった情報を扱う採用担当者には最新の注意が求められてきています。間違っても、自社の内定者に対して「君は、うちの親会社を受験しているよね?どうする気なの?」なんて質問はうっかりでは許されないでしょう。

 

第44号:学生の相談からみる現状

4月の中旬になり採用選考も本格的になりましたが、今年も内々定を取れる学生と取れない学生とに二極化しているようです。今回は、ダイヤモンド・ビッグ&リード社でのキャリア・セッションにおける相談内容をご紹介しましょう。来訪する学生の希望者に対しては企業でと全く同じスタイルで模擬面接を実施しておりますが、内々定の取れない学生には下記の点がよく見られます。

・正解探しから抜け出せない

熱心に多くの企業に応募する学生にありがちなのですが、「どういえば受かるのですか?」という正解探しから抜け出せていません。採用選考で正解を求められるのは初期選抜の段階だけで、最低限の基準をクリアした後は、個性の比較になります。内々定を取った学生の回答はその個人と一体となって意味があるので、同じことを他の応募者が話しても同じ結果にはなりません。極めて基本的なことなのですが、特に自己主張の強い性格の学生にはこのことを理解するのが難しいようで、言い方をあれこれ探して変えているうちに、自分の言いたいことがわからなくなる循環に陥っています。気づかせるのに最も時間がかかるタイプです。

・自己主張したいポイントにオリジナリティがない

採用面接で悩ましいのは、最終的に相対評価になりますのでどんなに良い志望動機や自己PRでも他の応募者と同じ回答では差がつかないという点です。一次面接をクリアしてもなかなか内々定を取れない学生にあるパターンで、第一印象ではそつなくまとまっていて減点するところはなくても、加点ができない応募者です。例えば今年は「リーダーシップ」を持った学生を求める企業が多く、「貴方が何かリーダーシップを発揮した実例をあげて下さい。」という質問が増えています。学生の回答でワンパターンになっているのは、「私はみんなを引っ張っていくタイプではないのでリーダーシップはありませんが、相手の話を聞くのが得意でメンバーの意見の調整役やまとめ役をこなしてきました。」というもの。「リーダーシップ」にはいくつかのタイプがあるのですが、何か指導的な役割をこなしていないとリーダーシップが無いと思いこんでいる学生が多いです。「私の考えるリーダーシップ」という点を明らかにすると、自分の意見がでてくると思うのですが。

・回答内容の関係が明確になっていない

採用面接ではいろいろな質問を行いますが、その回答内容が一貫していないことがあります。基本的な「志望動機(結論)→自己紹介・PR(理由)→エピソード(実例)」という流れができておらず、それぞれの質問の内容で主張したいことが別々になっている、または明らかになっていないケースです。

一方、「エントリーシートに、こう書いてしまったので志望動機はこう言わないと・・・。」とか「一次面接で、こう言ってしまったのでこう言わないと・・・。」という点に悩む学生もおりますが、これは採用選考を通じて学生の企業理解が深まることを採用担当者はわかっているので、変更した回答内容の筋が通っていれば気になりません。

限られた時間での採用面接では、全ての会話はその人を理解するためのものです。応募者は全ての回答を自分が何をアピールしたいのかという意図から回答して欲しいものです。趣味を伺うのも世間話をしているわけではないのですから。