第32号:内定式で学生に求めるもの

かつて10月1日は採用担当者にとって仕事の正否を問われる1日でした。内定式当日に、果たして本当に内定者はやってきてくれるのか?会場の受付で、一人、また一人とやってくる学生の出席をチェックするのは、総選挙を戦う党首のような心境です。まさに内定者に「踏み絵」を踏んで貰っているようなものですね。(一番、問題なのは踏み絵を踏みに来ない内定者なのですが・・・。)

最近はシーズンが早くなってしまったので、採用担当者の意識はもう3年生の対応に行ってしまっておりますが、10月の1週目は多くの採用担当者が内定者のフォローに追われておりました。内定通知を用意し、実効性のある研修を行ったり懇親会を行ったり、期待をこめて学生を迎えるスタイルは様々です。中にはTOIECを実施して、学生の気分を引き締めているところもあります。

気のせいか、最近は入社前に学生に課題を出す企業が増えているようです。やはり早期化ということが大きな理由なのかもしれません。なんといっても、4月に内定を得た学生にとっては10月1日は道半ばですから、「内定したなら、時間のある学生のうちに思いっきり遊んでおいて下さい。」というかつての人事の決まり文句も、下手をすると「4年生は1年間、丸ごと遊んでいて下さい。」ということになってしまいます。企業にとってもこの期間を少しでも即戦力に近づいて欲しいと思うのでしょう。大企業では論文を書かせ、流行のインターネットを活用したe-Learningを用意する企業も増えました。この経済環境では企業に頼っていられない、と熱心に受講する内定者も多いです。

内定式の意味合いは多様になってきておりますが、内定式で企業が学生に求めるもので一番大きなものは、やはり入社の意思を含めての社会人としてのコミットメント、大人の自覚ではないかと思います。内定通知書という社会人へのパスポートは、多くの学生にとって初めて自分の意思で手にする自己責任の契約書でしょう。多くの企業が内定通知書を渡し、法的に労働者としての立場を一歩向上させるわけですが、これを機会に社会人としての意識も一歩上げて欲しいと願います。

社会人に求められる、法律を遵守するという義務を理解するだけではなく、そういったルールが無いときこそ、自己判断・自己責任で行動できる“大人”になって欲しいと思います。ありきたりではありますが、デジタル全盛の現代こそ、ますますこういったアナログの感覚を身に付けて欲しいと思います。

 

 

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