第46号:新卒の雇用ミスマッチ

就職活動もいよいよ後半戦になりました。大手企業の採用活動は一段落したようですが、中堅企業についてはこれからが本番になるでしょう。この時期になると、学生にとっては就職活動を続けることは精神的にも辛いとですが、大事な頑張りどころですので応援してあげたいものです。同時に、なかなか自分にあった仕事が見つからないと戸惑う学生には、仕事選びの考え方を改めて伝える機会だと思います。

現在の厳しい就職状況をみていると、メディアではいつも「雇用のミスマッチ」という文字を見つけます。求職者の持っている専門性や指向性が、求人企業のそれとズレているということであり、厚生労働省でもこの対策に必死になっております。では新卒採用に「雇用のミスマッチ」というのはあり得るのでしょうか?私見ですが、職業経験の無い新卒学生はあまり気にしなくても良いのではないかと思っています。

人が職業を選択する場合、やりたいことがあってそれに就く場合と、就いてみて経験した後にそれがやりたいことだったと思う場合とがあると思います。この2つのスタイルは、個人によって異なりますが、同様のことを採用面接で質問しています。「貴方は、今の大学・学部を何故選んだのですか?」という問いがそれにあたりますが、その回答で「××先生について学びたいと思ったのです。」「こういった職業に就きたいと思ったからです。」と卒業後にやりたいことを明確に回答する学生は100人に数人居るかどうかです。同様な質問で、高学年になってから「貴方は今のゼミ・研究室を何故選んだのですか?」という質問をすると、その理由を回答できる学生は数十人に増えてきます。つまり、その組織に入って初めて自分のやりたいことが見えてくる、逆に学んだことをどう社会で活かすか、という発想がうまれるわけです。

実際、企業の就職でも同じで、OB体験談で語る社会人のキャリアの体験談で「最初からこんなキャリア・デザインをしていたのです。」と講演される方もおられますが、楽屋で裏話をすると「いや、綿密に計算していたわけではありません。」と本音を話される方が殆どです。最近のメディアの風潮では、自己分析、やりたいこと、本当の自分、を探させるカウンセラーや就職塾のようなものが多いです。しかし、それは本当に必要なものでしょうか?

「雇用のミスマッチ」の最大の問題は、この言葉を流行らせてしまったところにあるのではないかと感じることがあります。この言葉がメディアで声高にいわれているから、「就職活動が厳しいのは私のせいではない、社会のせいだ。」と考える学生を増やしてしまい、結果的に、やりたいことを探し続ける学生、何となくフリーターになってしまう学生を許容しているように思えます。

今から就職活動に頑張る学生に一番必要なのは、どこかのTVCMではないですが、

「考えるな、Just Do It!」

という言葉ではないかと思います。そうしてぶつかってきた学生に対して、初めてフォローのカウンセリングやコーチングの出番になるのだと思います。

 

 

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