第52号:工場実習とインターンシップ

この夏もいろいろな形式のインターンシップが各企業で実施されており、多くの学生が社会勉強をしていることと思います。インターンシップという言葉を聞くと、いつも思い出されるのは、理工系学生に伝統的にあった「工場実習」です。今では経験者も少なくなっているようですが、これはインターンシップという言葉が輸入される前からあった、日本の伝統的な学生の社会勉強でした。決して効率の良い社会勉強ではありませんでしたが、学ぶことは多かったと思います。

理工系学生の工場実習とは、所属する研究室の教授の指示によって特定の製造業の工場へ行き、見習い社員のように生産ラインでモノヅクリの現場を体験することです。期間は1ヶ月程度で、企業での待遇はアルバイトとされていることが多かったです。インターンシップと違って、特にカリキュラムが組まれて指導されるわけではありませんので、なんとなく単純作業のアルバイトで終わってしまったという学生も多かったですが、心ある先生は「何を学ぶかは自分で考えろ。」「何を学べるかは君の問題意識次第だ。」という言葉で送り出してくれました。

工場実習の経験者には、「そうは言われても単純作業で終わっちゃったよ。」「工場の人と仲良くなっただけだったなあ。」という感想も多いのですが、インターンシップでも工場実習でも、忘れてならないのはカリキュラムの充実度ではなく、参加する学生の学ぶ意欲ではないでしょうか。整備されすぎた環境の中では人間の創意工夫する力が衰えます。「必要は発明の母」という言葉通り、問題意識のあるところにアイデアが振ってきます。

しかし一方で、インターンシップという名称で学生をアルバイト要員として招集する困った企業もあります。過日のダイヤモンド・ビッグ&リード社のセミナーでも就職課の方から、そういった企業の対策はどうすべきか?というお問い合せも戴きました。インターンシップの定義を定めるというのは難しいことですが、そういった企業・業界は特定の分野に限られると思いますので、ブラック・リストを作って就職課ネットワークで共有すれば良いのではないでしょうか。学生向け個人商法では既に行われている対策だと思います。(最近は学生向けの就職情報サイトでもこういった情報が提供されています。)

また、ちょっと無情かもしれませんが、そういった失敗も社会勉強だ、致命的にならない程度の失敗は学生のうちにやっておいた方が良い、と指導する発想もありえます。無駄のないこと、完成されたもの、安全なもの、の中だけで学ぶことは社会勉強としては何か不足しているのではないかと感じるのです。夏休み、可愛い子には旅をさせたいものですね。

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