第78号:採用トレンドはダイレクト・リクルーティング

大学祭の時期ですが、既に3年生向けの企業のセミナーやエントリーシートによる書類選考が始まっております。昨年からドンドン進んでいるのが、企業が直接学生とコンタクトするダイレクト・リクルーティングの手法です。古くはリクルーター制度ですが、今年はついに企業連携の合同企画が始まってきました。

少し前に大手企業17社が合同で企業セミナーを開催する報道が流れました。内容は仕事理解のための社員との対談が中心で、合同社会人訪問という方が正しいでしょうか。いろいろな業界の企業が集まることによって、それぞれの業界・企業に関心のある学生母集団をシェアしようという狙いです。その背景には以下のようなことがあげられるでしょう。

1.早期の学生情報の入手

⇒個人情報保護法の関係でダイレクトにコンタクトする必要がある。

2.メガ就職情報サイトとの使い分け

⇒数千社登録されている集合サイトでは、如何に有名企業でも埋もれてしまう。

3.学生への直接認知度の向上

⇒Web登録数よりも直接コンタクト数の向上を重視する。

4.コストダウン

⇒採用シーズンの長期化により低コストの企画の回数を増やす必要がある。

5.異分野の優秀な学生とのコンタクト

⇒異業界の企業が集まることによってタイプの異なる学生集団をシェアできる。

こういった合同セミナーはこれまで就職情報企業が企画・主催していたものですが、企業の方で会場やエントリー用ホームページを用意して行うことは殆どありませんでした。それぞれの企業が形成する母集団をシェアするのは学生の奪い合いになるからです。ところが少子化の傾向もあり、これまでのように自社と馴染みのある大学・学部の母集団形成だけではなかなか良い学生と出会えるチャンスが少なくなってきました。

それに学生の大学での指向(志望業界・企業)というのは、それほど具体的なものではなく、入社してから変わることが多いものです。かつては業界毎のカラーというのは明確でしたが、今はサービス産業化(ホワイトカラー化)の傾向が高く、建設業でもメーカーでも商社でも仕事内容が似てきています。直接に社員と対話することによって志望が変わるのはよくあることです。

米国ではダイレクト・リクルーティングは主流で、そのためリクルーターという職種が確立しています。ダイレクト・リクルーティング手法はいろいろな形態がありますが、これから日本企業もいろいろなノウハウを持ってくるでしょう。日本の採用担当者もようやくプロ化の傾向がでてきたということかもしれませんね。

 

 

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