10月に入り、大手企業と就職情報サイトでの学生登録が本格的に始まりました。通勤電車内の中吊り広告にも登録用のアドレスを記入したURLを見かけます。大学から卒業生の在籍確認や連絡先の確認を戴くのもこの時期ですが、個人情報保護法の影響で思うとおり情報提供ができないのは大学も企業も同じです。こういった状況では大学が独自に卒業生リストを整備する必要がありますが、その第一歩はパーマネント・アドレスの提供でしょう。しかし、なかなかこれに対応していない大学が多いのは何故なのでしょう?
パーマネント・アドレスとは、大学が学生に与える電子メールアドレスを卒業も恒久的に使えるようにすることで、卒業生の囲い込みに熱心な米国の方では常識的に行われておりますが、日本の大学では対応しているところは少ないです。何故、これを行わないのは不思議なのですが、予算や管理工数の問題だとしたら、それは相当な誤解です。メールアドレスの運用に使われるコンピュータの性能や管理手数はどんどん低価格かつ高機能になってきております。インターネット上に多くある、無料のメールアドレスの容量をみればすぐにわかることでしょう。
パーマネント・アドレスがあれば、卒業生との直接のコンタクトもメーリングリスト(同報メール)だけで済み、通信連絡費のコスト・ダウンにもなるでしょう。確実に卒業生から返事があるかどうかは、メールの問題ではなく、学生個人と大学との精神的な交流の深さの問題ではありますが、連絡ルートが有ると無いとでは大きな違いです。
パーマネント・アドレスを更に発展させたものが、先日書きましたWeb2.0のmixiのように、卒業生のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイトを作ることになりますが、それについても価格・技術の面で導入しやすくなりました。これを入学時からちゃんと作れば、4年になってからの就職先報告の回収率も上がることでしょう。
卒業生リストの整備は、就職課にとって緊急の課題であると思いますが、まずはパーマネント・アドレスの設定から始めることを強くオススメ致します。個人情報保護法を理由に多くの企業が卒業生リストを出さなくなるのは常態化してくると思いますが、大学の方でこれがちゃんと整備されているとしたら、今までとは逆に企業の方から卒業生を紹介して下さい、と相談がやってくると思いますよ。
(大学で無料人材紹介を初めても良いではないですか。大学の株は間違いなく上がります。)
少子化の影響でこれからは新卒だけではなく転職市場が主流になってくるとしたら、ますます卒業生とのパイプをもつことが重要ですね。