第101号:採用担当者はマニュアル通りが嫌い

ICU(国際基督教大学)の大学院生が企業採用担当者の面接における意識調査を行いたいとの依頼があり、Professional Recruiters Clubを中心に約50名の採用担当者にアンケート調査を致しましたのでその結果を少々ご紹介致します。この研究はドイツ・米国・日本の採用面接において各文化による印象管理の相違を明らかにしようということだそうですが、いわゆる採用の面接本に書かれていることが、本当かどうかを調べてみたいとのことでした。

 

▼カジュアルな服装はあんまり気にしないが好印象にはならない。

服装についての印象は「どちらでもない(43.4%)」「悪い(41.5%)」の回答で、「良い(1.9%)でした。カジュアルな服装はデメリットになってもメリットになることは殆ど無いとのことですね。これかファッション業界等で集計すると傾向が変わるかもしれませんが。

 

▼ノックは2回でも3回でも気にしない。

入室時のノックの回数ですが、2回ノックは「良い(30.2%)」「どちらでもない(56.6%)」、1回または3回ノックは「どちらでもない(77.4%)」で、殆ど気にしていないということですね。採用担当者は応募者の入室待ちの時は、選考書類の確認に集中していることが多く、ノックの回数まで気にしていないと思います。マナー研修講師は「2回はトイレのノックですので止めましょう。」と良く言われますが、これはやはり笑い話にとどめて良いと思います。

 

▼給料や手当について質問するのは好まれない

「どちらでもない(49.1%)」「悪い(49.1%)」の回答ですが、これはこの質問自体が良くないというよりは、もっと就職に関する大事なことを聞いて欲しいということだと思います。給料等の実態は企業間・企業内でも差がありすぎて回答にもあまり意味がないでしょうから。外国のように給与が個別契約で一人一人異なる国では逆に印象が悪くなることはないと思われます。

 

▼マニュアルを見るのは良いが、マニュアル通りに回答されるのは嫌い

マニュアルを読んでいることについては「どちらでもない(45.3%)」「悪い(37,7%)」でやや印象が良くないようですが、実際の面接の回答でマニュアル通りの暗記回答では「悪い(43.4%)」「非常に悪い(30.2%)」でした。やはり「生きた会話」をしたいというのは大切なことのようです。

 

正直な所、アンケートでは採用担当者が全く気にしていない設問があったり、設問文言だけでは一概に判断できないこともありますが、大きな傾向として見るには参考になるでしょう。

マニュアル・ブームは情報過多社会の若者の傾向で、考える労力を省くという非常に危ないことです。学生と日々触れ合っていての個人的な感覚ですが、今の若者は「言葉にしないとわからない」「よろしかったですか?と過去形で丁寧表現をする」等、米国化が進んでいるようです。日本人は「空気を読める高等民族(?)」だったのですが、なかなかそうはいかなくなってきたようですね。

 

 

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