この週末、春に就職した二人の新社会人からメールが届きました。 一人は「元気に頑張っています!」、一人は「心が折れそうです・・・」というまったく対照的な内容です。 雇用のミスマッチということが言われますが、改めてこの言葉の意味を考えさせられました。
この二人の状況で興味深いのは、両者とも1~2ヶ月の新入社員研修を経て現場に配属されたのですが、その環境が想像とは異なるものでもあるにかかわらず、反応が正反対なことです。元気に頑張っている方は「現場の方は人間的に素晴らしい方が多く人生の勉強になっている。」と書き、心が折れそうな方は「希望通りの仕事ですが、子会社の方とは気が合わなくて・・・」書いてきています。この違いは何から来るのでしょうか?
一般に就職(雇用)のミスマッチを言うとき、それは労働者のやりたいこと(活かしたい専門性)と使用者の求める能力のズレのことですが、もう少し広く見てみると会社のもつ資産との相性と考えられるでしょう。
ヒト ⇒経営方針、企業文化、社風、配属された職場の人間関係
モノ ⇒勤務地、労働環境(研究設備、生産設備、OA、IT等)、福利厚生施設
カネ ⇒給料、労働時間、社会保険関係、企業研修制度
上記の会社資産の何に対して多くを望むのか、ということが応募者の就職企業選定基準になります。最近の売り手市場の状況で学生が多くを望むのは当然ですね。採用担当者にインタビューすると、今年は福利厚生関係や労働条件(残業時間・ボーナス)について詳しく尋ねてくる学生(内定者)が増加したとか。
さて、この二人の新社会人は、人間関係について相反することを語っています。それぞれの詳細はわかりませんが、社会に出るとこれまでとは異なる人間関係にぶつかり楽しんだり悩んだりすることでしょう。大学と違って同質・同文化・同年齢・同価値基準ではない人々と触れ合うわけですから。
問題はそんな時にどんな対応をとるかです。言い方を変えればミスマッチにぶつかったらどうするか、ということです。そして、ここが今の学生の弱点(課題)だと思います。
どんなに業界研究をやっても、どんなにインターンシップを行っても、人間関係のミスマッチを無くすことは不可能でしょう。最終的に配属される部署(一緒に仕事をするヒト・組織)は入社前に確定はできませんし、会社訪問やインターンシップでの人間関係と、実際に配属されて仕事(ビジネス・利益)が絡んだ人間関係とは異なりますから。
ミスマッチという言葉に慣れてしまうと、ミスマッチ自体が問題であるように思われますが、本当の問題はミスマッチにぶつかったときにどうするか、どう支援するか、です。景気がやや怪しくなってきた現在、売り手市場が意外と早く変わるかもしれませんが、そういった環境変化に自分を変えていける人が最後まで生き残るし、企業からも求められるのだと思います。
この二人の新社会人はこれからが本当の勝負です。暖かく応援していきたいものです。