第146号:金融破綻について思う

米国の金融破綻による経済混乱が収まりません。リーマン・ショックは単なる予兆で実態が明らかになるのはまだこれからです。私はよく大企業リストラを豪華客船の遭難に例えますが、もっとも心配なのは乗員のパニックです。必要以上に慌てふためくと思わぬ二次災害を引き起こします。こんな時は慌てずに落ち着いて対処することが、被害を最小限に食い止めることになります。

 

つい先日、外資系金融企業から内定取り消しをされた学生からの相談を受けました。企業の言い分では「内定」は約束していないということでしたが、これは採用担当者が狡猾なのか無知なのでしょう。他にも「内定取り消しにはなっていませんが、このままで大丈夫でしょうか?」という相談も数件ありました。有名大学を出て外資系金融を目指す位なんだから、自分のキャリアのリスク・ヘッジや覚悟はしておいた方が良さそうなものですが、そこは就業経験の無い日本の新卒大学生ですから致し方ありません。頭は強くても心はそれほど強くないのでしょう。実際、今回の金融破綻は戦後最大の危機といいますから、私だって不安です。

 

しかしながら、日本の状況をよく見てみると、欧米とは異なって幸か不幸かバブル崩壊から立ち直ってきたところでしたから、米国のサブプライム・ローン等の影響は少なく金融も実体経済も(元気とまでは言えませんが)そう痛んではいません。つまり、日本は世界でも安定している方です。しかも、不況の時には現金を持っているのが一番安心なのと同じで、日本は世界に冠たる大貯蓄国です。

 

それに金融破綻がこの時期に起きたのは就職内定者にとっては幸いです。この10月1日は、相も変わらず内定式に繰り出す4年生が大勢、ターミナル駅を占領し、企業では書面での内定通知と引き替えに誓約書の提出という儀式が終わり、労働者の地位は一段と高くなりましたから。これがもし春先に起きていたら、内定そのものを得られなかったかもしれません。

 

正直なところ、この状況では日本にどのような影響があるかはまだわかりません。就職課の皆さんのところにも欧米の銀行に押しかける預金者のように、不安を抱えた学生がやってくるかもしれませんが、こんな時こそ、落ち着かせてあげて下さい。おそらく先日の企業の内定式でも、しっかりした企業の採用担当者は「心配ありません。」と内定者を安心させていることでしょう。

今の若者は、生まれたときから好景気というものを見たことがありませんが、今の世の中が相当に豊かなことも、本当に苦しい社会もまた知りません。経済がこけても人類の歴史が終わるわけではありませんし、人類は過去何度もそれを乗り越えてきました。

 

最後に、就職セミナーやキャリアの講義でも良く引用される言葉をご紹介したいと思います。

 

「悲観は気分、楽観は意志」 アラン『幸福論』

 

就職活動ではまさにこれが求められると思います。勿論、企業の採用活動も。

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