今シーズンは応募者増加に反して採用数激減という買い手市場になったため、採用担当者側も選考合格を出すにはかなり迷います。例年に比べて、最終面接で不合格になる応募者が増加しているようですが、これはそれだけ人事部が迷っているということでしょう。採用選考の裏側からこの辺の事情を考えてみます。
多くの企業では採用面接が終わったその日のうちにミーティングを行い、各面接者が選考した学生の評価を話し合い、次の選考に呼び出す学生を絞り込む作業を行います。面接の印象というのは意外と早く忘れてしまうもので、当日のうちに確認しておかなければなりませんし、有望な学生は早く選考を進めたいという気持ちもあります。このミーティングでは、面接者は自分が選考進めたい(合格を出したい)学生の何処が良いのかを他の採用担当者に説明しなければなりません。その説明はまちまちですが、何故、その応募者が有望なのかしっかりした理由が無ければ、採用面接者としての資質を問われてしまいます。
こうして二次面接に呼び出す学生のリストができあがり、上位の選考者が面接を行いますが、その結果は下位の採用担当者にフィードバックされ、自分の選考基準を見直したり、上位選考者と意見交換をしたりします。こうしたプロセスを経て、採用担当者は徐々に自分の選考基準を身に付けていくのですが、上位の考課者に合わせていくか、それとも自分の選考基準を貫いていくかは、企業のカラーや採用担当者の性格にも左右されます。
いずれにしても面接を担当した採用担当者にとっては、その学生を何故採用するのか、という理由が明らかな応募者は助かります。ですので、実際に「当社が貴方を採用するメリットは何ですか?」とストレートに質問してくる面接者も居ります。
(逆に「不合格の理由が明らかな学生の面接の方が楽で助かる。」とひそかに考えている採用担当者も居ります。)
ですから、学生の方に知っておいて欲しいのは、目の前の採用担当者が求めているのは、他の採用担当者を説得するのに有望な理由だということです。それを簡潔に伝えて欲しいと思います。
視点を変えれば、如何に目の前の採用担当者を自分の味方にするかを考えて欲しいということですね。面白いもので、採用担当者は自分が合格を出した応募者についてはつい心情が入り、味方になることが多いものです。というのは、自分が合格を出したということは、自分の判断基準を上位考課者に仰ぐということですから、その応募者は採用担当者の分身のようなものです。
というわけで、今シーズン、最終面接でかなり不合格になるということは、その前の人事部の選考で合格判定が多く出ているということです。人事部でも絞りきれず、おそらく紙一重の最終判断が出ているのだと思います。