第199号:貿易会 vs 経団連

先日、採用活動の早期化について経団連の申し合わせが正式に決まりました。今年こそは就職環境が大きく変わる元年だと期待していたのですが、拍子抜けでしたね。タイトルの「貿易会vs 経団連」というタイトルが妥当とは思いませんが、早期化是正にチャレンジした企業群が出てきたのに、その精神が活かされないとは残念です。

 

今回の意志決定でよくわかったのは、経団連というのはもはや業界をリード・指導する崇高な企業経営者の団体ではなく、残念ながら強者の利権を守る国連のような存在だということです。(やや言い過ぎですが、新年に免じてご寛容下さい。)皮肉な言い方はさておき、現在の就職活動の早期化・長期化がなかなか是正されない理由を経済学的な視点、もしくは推理小説の犯人捜しの発想で冷静に見てみると、早期化・長期化で得をするのは誰か?です。

 

かつては就職情報業者がすぐにやり玉に挙げられましたが、現在は多くの業界が、就職活動を「産業化」して恩恵を得るようになってしまい、結果的に学生が「消費者化」されていると私には見えます。学生が1年中就職活動をするようになったので、夏物・冬物2着以上になったリクルートスーツをはじめ、交通費、通信費、休憩のカフェ代、そして売上が急進したアップル社のiPhone。更に手がこんで、就職セミナーに見せかけた自社の企業宣伝・商品説明。買いたくもない商品の説明を黙って1時間も聞いてくれる商業機会はそうはありません。

今回、早期化・長期化に反対している企業が何処なのか調べ上げてみれば、総合商社や医薬品のようなBtoB産業ではなく、学生が潜在的消費者になりうるBtoC産業が多いのではないでしょうか?

 

よほど裕福な家庭でない限り、学生が消費者化するということは、同時にアルバイトによる「労働者化」にならざるをえません。現代は、私たちが学生の頃には存在しなかった、大学生が主たる(非正規)労働力の産業が多数存在しています。外食産業、量販店、接客サービス業・・・。その結果、学生が採用面接で語る「大学生活で一番頑張ったこと」は、どれもあまり変わらないアルバイトになっています。結局のところ、学生の時間を就職活動に奪った企業が、良い人材の成長機会・採用機会を失っていることになるのではありませんか

 

就職活動(採用活動)の早期化を語るとき、最優先で考えなければならないのは、採用企業の都合ではなく、大学教育の環境のはずです。学生の時間を取り戻し、次に考えるべきは大学教育の見直しです。キャリア教育も良いですが、本来の大学教育で得られる力を再考すべきでしょう。私もこれまで無数の就職指導をしてきていますが、ESの書き方もGDのスキルも面接テクニックも、すべて大学教育で可能なことです。

 

会社説明開始は12月だ4月だ、という議論などしなくても、現行の倫理憲章で謳われている10月1日正式内定を厳守させ、内々定拘束をする企業はパワーハラスメントで摘発する、と明言すれば相当に解決するのではないでしょうか。新年早々、苦言から始まるのも恐縮ですが、本当に就職活動維新の元年に成って欲しいですから、諦めずにボヤいていきたいと思います。本年も宜しくお願い致します。

 

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