第205号:救難・復旧・復興対策としての採用活動

震災後3週間が経ちましたが未だに被害の全容が把握しきれておりません。この時期に企業の取るべき採用活動のあり方を、敢えて就職活動に戸惑う学生への支援策として論じることをお許し下さい。いきなり就職活動が止まってしまった学生も間接的な被災者であることには間違いないでしょう。そして先が見えずにエアポケット状態になっている採用担当者が、学生に対して何ができるかを整理して将来への課題提起をする気持ちです。

 

災害における対処としては、「救難」「復旧」「復興」の3段階ですが、これを採用活動になぞらえると以下の通りになるでしょう。

「救難」⇒短期対策で即時に緊急対応すること、現応募者への採用選考スケジュールの説明、採用時期の延期、被災地方に対する特別採用枠の設定です。しかし被災地方の特別枠を設定するのが、ネスレ日本社のように完全に優先採用枠を用意するならば素晴らしいことですが、他の地域の採用選考スケジュールはそのまま先に行うのでは問題があります。というのは、今回の被災規模が明らかになるにつれ、企業への業績影響が徐々に大きくなり、時間が経つほど採用予定数が減少する可能性が高いからです。つまり、被災地方の学生が企業訪問出来るようになった頃には、採用枠が無くなっているかもしれません。ですので、全国の学生には気の毒ですが、機会公平を期するならば全員一律に選考時期を延期するのが妥当です。そして、この延期を次の段階の復旧につなげて欲しいです。

 

「復旧」⇒中期対策で現状に復帰させること、つまり採用シーズンの適正化です。何度もここで私が主張してきたとおり、採用活動早期化にはこうした経営リスクがあるにもかかわらず進めてしまい、結果、学生や企業自身にも大きな機会損失を生んでいるわけです。もし企業の採用活動が総合商社の提案の通り夏からだったなら、どれだけ多くの学生がこの春休みに被災地のボランティア活動に従事できたことでしょう。被災地に直接行かなくても、東京での募金活動や物資の調達や公共団体やボランティア団体への労務の提供や、学生得意のネットを使った被災地向けの支援も可能でしょう。

 

「復興」⇒長期対策で過去を見直しより良い形に再生すること、これにはいろいろな策が考えられますが、私が提案したいのは大学評価の見直しです。現状ではやや理想論と言われそうですが、学生の大学生活(授業成績だけでなく、課外、学外活動全般)を評価して企業が採用できるようになることです。企業が多大な金銭&時間コストをかけて就職(採用)シーズンを作るのではなく、大学の評価基準を信頼して採用することです。大学側も求める人材(選考基準)について真剣に企業と意見交換・議論して企業の採用基準に準ずるカリキュラムや推薦制度を開発することです。(念のため書きますが、就職予備校化ではありません。大学本来の知見を就職・採用活動に応用することです。)

 

幸いにも被災を逃れた地域の企業・大学・学生は、救難にむかえなくても、現状を見直して復旧について真剣に考えることはできるはずです。そして復興を単なる過去の復元とするのではなく、より良い形に創成していく、それができなければ犠牲になられた被災者の方々に申し訳がたちません。

 

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