第207号:ソー活とリア就

「ソー活」という言葉は、そろそろ皆さんも耳にも届き始めた頃だと思います。いま流行のソーシャルメディアであるtwitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)等を利用した就職活動のことですね。今年は「ソー活元年」といわれておりますが、これまでのITツールと何が違うかを理解するのはなかなか難しいです。いずれこのコラムで何度か触れて参りますが、少し俯瞰してみましょう。

 

そもそも「ソーシャルメディア」という言葉の意味もよくわからないという方も多いでしょう。たしかに、IT業界に身を置いてきた私でさえ最新の動向についていくのはなかなか大変です。同じソーシャルメディアであるtwitter とFacebookでも使い方や機能はかなり違います。Twitterでは匿名にして何でも気楽につぶやけますが、 Facebookは実名で使われるのが基本なので自ずと発言には自制心が求められます。

双方の共通点といえば、そうした情報発信・交流の中で自然とネットワークが広がっていくように設計されている点です。そのため、こうしたツールを使いこなす「ソー活学生」と、そうでない学生ではますます大きな情報格差が発生してくると思われます。周知のとおり、昨秋からリクナビとタイアップしたFacebookの「コネクションサーチ」という機能では、OB/OG訪問のアポも取れるようになってきますので、もしかすると大学就職課の卒業生紹介という仕事も減るかもしれません。

 

一方でここ数年大手企業は、ネット経由の「ソー活学生」よりもリクルーターを使った直接の対話による採用活動に力を入れてきました。学生にとっては「ソー活」とは対称的なリアルな就職活動、つまり「リア就」(学生の俗語である「リア充」、ネット上の仮想社会ではなく現実生活が充実している人のことから思いついた私の造語です。)の学生の方が有利だったわけですね。この傾向は今後も続くでしょう。しかし、ソーシャルメディアの流行により、このリア就の学生も影響を受けて変わってくるかもしれません。

というのは、実名で学歴や趣味等がわかるFacebookは、それだけで「ネット上のリア就」という性格をもっているからです。企業のリクルーターは、これまで卒業生名簿や出身研究室・サークルというリアルな人的ネットワークから学生に接触を計ってきました。その手間暇が、Facebookによりかなり効率が良くなるからです。以前より「逆求人」という企画がありましたが、自分に自信のある学生は、積極的にソーシャルメディア上に自分の個人情報を公開し、リクルーターの目に止まるようにするでしょう。つまりソーシャルメディアはWeb上に公開された履歴書やESの役割をもつのです。こうした情報発信ができない学生は、逆にどんどん埋もれていくかもしれません。

 

最後にこのメディアは上手く使えば良い学生指導の機会になることを指摘しておきたいと思います。ソーシャルメディアは公開されたメディア、つまり公共の場なので、学生がネット上で無礼な振る舞いをすると丸見えになります。機能上、見せないようにも設定できますが、どんどん公開させて、若者にスマートな公共精神を身に付けさせるのです。「採用担当者の目に止まるような発言・書き込みをやりなさい!」「ネット上に誇れるような大学生活を過ごそうよ!」「そんな失礼な発言は採用担当者が見ているよ!」私は最近、学生にそうしたセミナーを行い始めましたが、是非、新しいメディアを新しい視点で活用したいものですね。

 

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