第209号:現出した通年採用

春の採用選考を延期した商社や製造業が動き出し、今期の採用活動も(最後の?)ヤマ場になりました。街中にリクルートスーツの学生がまた目立ち始めています。しかし、既に就職活動を終えた学生も相当数に出ておりますので、街中にリクルートスーツが溢れているという状況ではありません。こうした五月雨式の採用・就職活動が、いわゆる「通年採用」のささやかな現れです。

 

これまで何度か書きましたが、「通年採用」とは企業が1年中採用活動を行っている、新卒学生がいつでも企業に応募できるということではありません。採用時期も採用数も状況に応じて決める、というものです。つまり今春のように企業によって採用活動がまちまちになってきます。

 

それは応募者にとって、志望業界・企業の採用時期が集中せずに応募機会が増えるというメリットと、志望する企業の採用活動状況に常に注意を払うという煩雑さのデメリットがあります。これは就職活動を完全に自分自身でコントロールできる「自己責任型」の応募者にはメリットで、就職活動を環境に委ねる「他者依存型」の応募者にはデメリットだといえます。どちらが良いか?という議論は大学生がわりと均一していた前世紀の話しで、現在のように大学生が多様化した時代には、もうそれぞれのメリットを分けて認めるべきでしょう。

 

では、今後の通年採用の時代に適合した「自己責任型」の応募者になるには、どんな資質が求められるのか?具体的には以下のような、良い意味での「自己中心型」ともいえましょう。

・自己肯定感が強い

⇒第一希望の会社は、(内定して)自分が入社を決めた会社だと考える。

・周りに左右されない

⇒就職活動を始めるときも終わるときも自分で決める。

・ダメ元ができる

⇒説明会が用意されてない企業でも、ドアを叩いて尋ねる無駄ができる。

 

これらの素養を暗に期待している企業の言葉をお伝えしましょう。つい先日、お会いしたハイテクベンチャー企業の社長に伺ったコメントです。

「中小企業の側から見ると、採用は結構むずかしいですね。毎年採用なんかしないので、人事部もないし、学校にコネもない。就職難とか言ってますが、同時に採用難が発生しています。」

 

こうしてみると、結局、新卒一括採用とは、企業も学生もお互いの効率を考えて形成されてきたものではないかと思えてきます。上記のような「自己責任型」人材になるのはなかなか大変だと思いますが、これも時代の要請なのでしょう。世界においては、こちらの方が標準ですからね。厳しい時代・環境をバネして自立していく、それは今の日本にとって最も大事な課題ではないかと思います。

 

 

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