第241号:就職準備不足とは何が本当の問題か?

経団連のご指導による倫理憲章のお陰様で、会社説明会の会誌は12月からとなり、マスコミの多くはこれによって学生の内定率が下がったと報じています。(元に戻したくて仕方ないようですね。)しかし、就活時期が遅れたことと内定が下がったことに、どのような相関や因果関係があるかを明らかにした研究は寡聞にして知りません。これをちゃんと調べて論文にしたら相当に評価されると思いますが、現状は推測や言説の域を出ていないと思います。

 

仮に、もし12月に遅れたことにより内定を取れない学生が増えたという説を肯定するならば、私にも一つの見方があります。それは倫理憲章を理由にして12月まで何もしなかった学生だったからこそ内定が決まらなかったのです。就職活動は自分で始めるものではなく、誰かが「さあ、スタートですよ。まずは自己分析して、企業を研究して、筆記試験の練習をして、グループ・ディスカッションの練習をして、面接の練習をして、あ、そうそう、ビジネスマナーやスーツに化粧も手を抜いてはいけません・・・ etc.」と言われたままにやっているような学生だからこそ内定がとれなかったのです。

 

原因は時期が遅れたことにあるのではなく、自分の頭で考えず、自分の意志で行動せず、大学受験と同じようなことをやっていたからです。皮肉なことに、倫理憲章はそうした学生と、自分で考え行動した学生の違いを明らかにしてしまったようです。これは前世紀から言われていることですが、社会で求められるのは正しい解答を探す人では無く、自分の回答を創る人です。前者は教わったことで壁にぶつかったらすぐに立ち往生して誰かに頼ります。後者は壁にぶつかったすぐに自分の別の手段を考えて動きます。

 

企業情報の提供が、たかが2ヶ月遅れたり早くなったりで、学生の社会を知る範囲がどれだけ変わるものでしょうか?学生の人間としての能力がそれほど変わるものでしょうか?企業が求めているのは2ヶ月やそこらでわかる表面的な知識ではなく、その下にある自主性や計画性や洞察性や戦略性、判断力や行動力や忍耐力です。2ヶ月の就活期間不足により、業界・企業研究不足だと指摘される学生は、もっと低次元のその会社の事業分野や基本的なビジネスモデルや、はては社長の名前とかを知らない非常識なケースです。

 

ということで、採用担当者としては12月に遅らせてくれたお陰で、できる学生とそうでない学生の見分け方がよくわかるようになりました。だからもう2ヶ月遅らせて3年の春休みからやってくれるとなお助かりますし、経済同友会の主張のとおり4年の8月なら大歓迎です。採用担当者として良い人材が確保できないなどと心配はありません。ちょっと隣国を見れば語学堪能かつ高学歴で熱心な学生が自国で就職できずに日本に押し寄せてきているのですから。(近隣諸国とのトラブル対応は、近隣諸国の社員を採用して対処するのが一番です。これはかつて大英帝国がインド支配に、イギリスに恭順したインド人を警官や公務員にして現地支配を行った手法であり、海外に進出する日本企業も現地法人を設立する際には行っていました。)

世界がどんどんつながっていくなかで、いつまでも横並びでヨーイ、ドン!っとやっているようではいけませんね。

 

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