第243号:大学祭ライブのイマドキ

大学祭のシーズンもそろそろ終盤ですね。私もいくつかの大学を回ってきましたが、禁酒が増えたせいか例年よりやや落ち着いている感じがいたします。自分が大学生だった頃と比べると、高校生が非常に多くなってきて、オープンキャンパスの役割も果たしているのでしょうね。授業だけではなく、課外活動もキャンパスライフの大きな魅力ですから。そして、そのサークル活動の様子を見ていると、学生の資質も垣間見ることができます。

 

私は体育会に所属しており、大学祭の頃は試合のトップシーズンだったので、残念ながら自校の大学祭も殆ど見る機会がありませんでした。4年生になって引退後、初めて楽しむことができたのですが、各大学の軽音楽部のライブを回って上手なバンドを見つけるのが好きでした。サザンなどのプロ級の学生バンドも当時は今より多かった気が致します。

 

そんな多くの学生バンドを聴いているうちに、上手なバンドとそうでないバンドの違いに気づくことがありました。それは演奏ではなく、演奏の前のコメントでわかります。あまり上手くないバンドの口上は、こんなものが多かったです。

「今日はちょっとアンプの調子も良くなくて、体調もイマイチなんですが、まあ、とりあえず聞いて下さい・・・。」

照れ臭さもあるのでしょうが、もう演奏はきかずに帰りたくなりますね。反対に、上手なバンドに多いのは、こんな口上です。

「今日はようこそおいで下さいました。全力で演奏しますので、是非、楽しんでいって下さい!」

 

要はその演奏が、自己満足なのか、相手に聴いて貰うものなのか、という意識の違いですね。これは採用面接での、採りたくない学生と採りたくなる学生との違いと同じです。ESでも自己PRでも体験談でも、それは自分の想いを一方的に伝えるのではなく、相手が聴きたいものなのか、相手に聴かせる技術があるのか、という意識の有無です。

 

最近はケイオンが大ブームですので、何処の大学でもバンド活動が盛んなのは個人的には嬉しいことです。楽器もエレクトロニクスの進歩で、楽器が演奏できなくても作曲ができるようになりましたし、歌だって音声合成でコンピュータに歌わせることのできる時代です。誰でも音楽を楽しむことができるようになった反面、内輪の小グループだけでこぢんまりと楽しむサークルが増えた気がします。見知らぬ一般の聴衆に聴いて貰うという意識では無く、サークルメンバー同士だけで演奏と聴衆を入れ替わって盛り上がっているのは、カラオケと同じですね。

 

それと、もう一つ昔の大学バンドと違ってきたのは、ライブ会場に父兄らしき親御さんがチラホラと見かけることです。昔もライブチケットを友人に頼んで買って貰うのはありましたが、流石に親まで巻き込むことはなかったように思います。これも企業の採用選考で親の影がチラホラ浮かぶのと同じことかもしれません。演奏を聴いて「是非、君を採用したい!」とスカウトしたくなるような学生バンドに出会いたいものですが。

 

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