12月となり企業の採用広報が始まりました。一気に学生と企業が動き出すのを見ていると、日本経済団体連合会(経団連)の影響力はさすがなものだと思わされます。経団連に加盟している企業は1285社(2012年3月現在)で、産業全体から見ればわずかなものですが、この方針に準ずる企業は多いものですね。
経団連の定めた倫理憲章を改めて見てみると、その主旨はなかなか良いもので、就職活動をする学生にも是非一読を勧めたいものです。憲法と同じで、存在は知っていても実際に読んだことのある方は少ないでしょう。これを読んで次に思うのは、「こんな良いことを言っている企業は何処なんだ?」という自然な疑問です。ところが、経団連の加盟企業は、不正利用を防止するという理由から、Web上での公開はされておりません。(経団連会館に訪問すれば加盟企業は閲覧できます。)
せっかくの倫理憲章を遵守する優良企業を知りたい(是非、入社したい)と、学生が思っても簡単にはわからないのは困ったものです。一方で多くの外資系企業のように、経団連に非加盟の企業は倫理憲章を無視して既に選考を始め、内定を出している企業もありますから、ますます就活学生は疑心暗鬼になります。
ところが、つい12月11日、経団連から『「採用選考に関する企業の倫理憲章」の趣旨実現をめざす共同宣言』がなされ、そこにはこの倫理憲章を遵守する企業群(825社)の名前が公開されました(文末URL参照)。こうして見ると優良企業が名を連ねておりますが、マスコミ業界が見当たらないのは残念です。
経団連もなかなかやるものですね。こうなると次に対応して戴きたいのは、やはり企業の採用広報時期の問題です。ただでさえ多忙な師走から、期末試験後の春休みに変更して戴きたいものですが、それができないなら、倫理憲章を守っているかどうかの監査と罰則の設定です。これも空しい希望かと思っていましたら、とある業界では内部告発制度を設定していてお互いを監視しあっておりました。江戸時代の五人組を彷彿とさせますが、抜け駆け防止には効果があるのでしょう。
何度かこのコラムでもお伝えしたとおり、私個人は、採用広報開始は春休みの始まる2月から、採用選考は夏休みの始まる8月から、というのがベストだと思っています。マスコミが宣伝するように、就職活動が準備不足の学生が多いのなら、その準備がもっともしやすい時期にすべきではないでしょうか?
12月に選挙という暴挙(?)は40年ぶりだそうですが、採用選考開始時期は、立法など必要なく良識ある企業の判断で改善できることなのですから。
▼参考URL:「採用選考に関する企業の倫理憲章」の趣旨実現をめざす共同宣言