大手企業から追加採用の求人がチラホラ出ています。比較的少人数の募集なので、景気浮揚で採用数が増えたというよりは、内定先を絞り込んだ学生に辞退され、欠員募集のようにみえます。しかし、こうした小口の採用を行うことは、簡単なようでなかなか大変ですが、新卒人材紹介は新たな流れになるかもしれません。
小規模な追加採用ニーズが出た時、採用関係費用を使い果たした企業では大規模ナビは使えず、また予算があったとしても、採用工数に手間ひま時間がかかりすぎます。そこですぐに浮かぶのは、今も昔も同じく、採用実績のある大学就職課に「良い人は残っていませんか?」という個別求人で、改めて求人広告を出したり、前回お伝えしたような大学内セミナーを開催してみるということですね。実際、私の方にもいくつかの企業から「良い学生居ませんか?」との問い合わせが来ておりますので、きっと皆様の方にも相当数の依頼が届いていることでしょう。
こうした状況の中で、私が最近、着目しているのが新卒人材紹介事業です。まだ新卒採用の本流ではありませんが、少しずつ世の中に広まってきているようです。試しに「新卒人材紹介」でググってみると、無数のサービスが検索できます。見ていて面白いのは、大手就職情報サービス企業が出ているの当然として、学生ベンチャー企業のような中小企業や、まった人材ビジネスとは関係のない大手メーカーも見つかることです。
リクルート社が学生の起業でスタートしたように、そもそも人材サービスは技術上の参入障壁が低く、ビジネスモデルもシンプルですから、取り組みやすい事業です。人材紹介の仕入れは、個人的な人脈でも可能ですから、ちょっと大規模なサークル活動をやっていた学生でも起業できます(周知の通り、職業紹介事業はオフィスの用意等が必要ですが、仕事の上のノウハウよりもはるかに準備は容易です)。就職活動がうまくいかない学生達が、もし大勢集まって協力したら、昔のドラマの「俺たちの旅」のような面白いことになるかもしれません。
もう一つの興味深い動きは、異業種からの参入です。私が外資系で採用担当者だった十数年前、数十社の人材紹介業者とお付き合いしておりましたが、オムロン社のようにまったく人材サービスとは縁が無いと思っていた企業が居ることに驚きました。翻ってみると、今は多くの大手企業が本業とは縁の無さそうな新規事業を始めてきています。JRが市場調査サービスを行ったり、ソニーの金融業が伸びていたり、ソフトバンクがロボットを作っていたり、DNAが医療事業に取り組み始めたり。仮に銀行が人材バンクを始めたら、いきなり業界トップになってしまうかもしれません。(やれるものなら大学就職課だった起業してみたいものですね。笑)
いまのちょっとした景気浮揚は、かつてのバブル期のようなムードを感じされるものがありますが、様々な人材調達手段が出てきているいま、かつてのように大手企業が一気に採用数を増やすようなことはないでしょう。新卒人材紹介のように、成功報酬型で堅実な方法を選び、もしかするとこうした形で新卒採用と中途採用の就職の形が融合していくのかもしれません。