第301号:元気な留年のススメ

大学が新年度に入り、1年で最も活気に溢れている時期ですね。そんなキャンパスでは卒業が出来なくて留年している学生もチラホラ見かけます。心なしか肩身が狭そうに見えたり、開き直って妙に明るかったりと表情は様々ですが、私は元気な留年生が増えたら大学はもっと面白くなるのではないかと思っています。採用担当者の声でよく耳にする「最近は個性的な学生が少なくなった」というものも少し解消できるのはないでしょうか。

 

個性的な学生が少なくなった理由には、以下のようなものが考えられます。

・画一的な非正規労働(アルバイト)に多くの学生が従事するようになった。

・ITの進展により、情報の伝搬速度が速まり受け売り現象が増えた。

・何でも用意されていて、創意工夫や失敗の経験が減った。

・浪人生が減って現役学生が増えた。

 

大学大衆化の時代になって、本来ならば学生は多様化していても不思議ではないのですが、残念ながら多様化したのは学力(それも下位の方向へ拡大)くらいで、行動や思考バターンは画一化が進んでいると感じます。私が大学に進学した頃は、全国各地からやってきた学生や、浪人していた学生と出会うことができ、同じ大学の同期なのにこんなにも考え方や習慣が違うのか!と新鮮な驚きがありました。

しかし現状は全国何処に行っても同じチェーンのスーパーやコンビニやカフェがあり、浪人生も減りました(学校基本調査で浪人率は、2013年度で12.4%、1985年度では38.5%)。つまり、空間的にも時間的にも今の大学生は多様化できなくなっているのです。

 

法政大学では、かつてこの多様化を意図的に作り出すことに挑戦したことがあります。10年ほど前のキャリアデザイン学部設立時に、入学生の20%を社会人にしようと募集をかけたのです。社会人と学生が同じ場で過ごし、学び、語り合うことによって、相互成長、多様な学びを狙ったのです。しかし残念ながら、社会人入学者は少数にとどまってしまいました。

 

こんな現状の中で、私のススメは積極的に留年すること。かつて浪人が珍しくなかったように、大学を元気に5年間過ごして卒業する学生が増えてきたら大学は面白くなると思います。就職留年だって良いです。日本の一般的な新卒採用が2浪まで許されるように、1留などは多目に見てくれます。欧米のように、卒業してから就活をするのは、今の日本ではあまり現実的ではありません。もし留年という言葉がどうしても気になるならば、社会人大学院のように、入学募集時から予め4年卒業コース、5年卒業コース、6年卒業コースと分けてしまうという手もあります。5年・6年コースの学生が途中で気が変わったら早期に(4年で)卒業できるようにすればなお良いでしょう。

 

新学期の熱気にうなされた夢物語のような話しをしましたが、こんな風に学生が多様化すると学生は多様化できるでしょうし、経済要因とか倫理憲章の変更とか外部的な環境変化にも柔軟に対応できる(卒業時期を自分で選べる)ような若者が増えてくるのではないかと思います。

 

 

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