第323号:ビジネス感覚は君子豹変の成長機会

企業と学生のコンタクトが一気に始まりました。大学受験が終わり、しばし閑静だったキャンパスがリクルートスーツで溢れています。日本の新卒一括採用には批判も多いですが、四季がはっきりしている(最近はどうも異常気象で続きすが)我が国らしさかもしれません。この時期に学生がグッと成長できるかどうか、豹変できる君子であるかどうか、期待を持ってみていますが、そのキッカケは意外と小さな意識の変化だと思います。

 

採用担当者としてどのような視点で学生を見るかは、本当に企業毎、個人毎に異なりますが、学生から社会人への意識の切り替えができているかは誰しも期待を持ってみているところでしょう。しかし、この「学生から社会人へ」という言葉の解釈が、私のように営業現場を経験した採用担当者と、人事部だけしか経験していない採用担当者では、だいぶ異なるように感じます。前者であれば採用選考の場を「取引」の場と見なすことができますが、後者の場合はこのビジネス感覚が欠けていると感じることがあります。

そして、学生(応募者)も複雑な交渉を伴う取引(ビジネス)の経験がまずありませんが、ここに気づけていたら、話し方は大きく変わってきます。それには以下の小さな意識の変化があるかどうかです。

 

『就職活動とは、企業に対して自分という商品を売込む人生で初めてのビジネス』

 

なんだ、こんな簡単なことかと思われましたか?確かに言われれば当たり前のことです。しかし、この小さな意識の変化をちゃんと理解できていたなら行動が変わります。採用面接の場が商談の場だと理解できているなら、そこですべきは「要求」ではなく「提案」です。

「要求」とは、相手の思惑はともかく自分の想いを一方的に伝えることです。国同士の取引(外交)では某大国のように、過大な要求をつきつける交渉術もありますが、通常のビジネスではそうした態度は疎まれます。翻ってみると、相手のことを考えたり調べたりしないで自分の想いだけを熱く語る学生はおりませんでしょうか?具体的に言うと、自己分析はやっているけど企業研究をやっていない学生のことです。相手は当然わかってくれると思い込んでいるのでしょう。

一方で「提案」とは、自分と相手の合理的な、いわゆるWin-Winの関係を考えながら話すことです。具体的に言うと、相手の求めているものを理解した上で(企業研究をしたうえで)、そのニーズに合うように話すことです。

ここでいう「相手の求めているもの」というのは、採用担当者が語る「求める人材像」のような抽象的なものではなく、その組織が求める具体的な業務内容や仕事能力の理解です。上述の通り、営業経験のない採用担当者は前者をみる傾向にあり、現場経験のある採用担当者は後者を見る感覚があります。

 

採用活動を冷静にビジネスの場と考えると、性能も可能性も未知数な製品をたかが10~20分の面接数回で購入する非常にリスクのある判断です。しかも購入金額(生涯賃金)は2~3億円です。こんな商談は世の中にそうそうありません。というわけで、「わけのわからないもの(自分という商品)を、わかりやすく説明して売り込むのだ」そうしたビジネス感覚で提案できる学生ならリスクをおかしても購入してみようかと思えます。願わくは、この春に多くの学生が豹変することを!

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