第331号:圧倒的な業界研究不足には

先日とある企業の採用選考に立ち会いました。ES(自己PR)と筆記試験は合格し、面接に臨んだところ、応募企業の業務内容や業界動向についてあまりに無知で不合格となりました。今回、唖然としたのは、自己PRと業界研究の大きな落差です。これはコンピテンシー面接の弊害ともいえるのですが、業界研究の進め方にも問題がありそうです。

 

周知の通りコンピテンシー面接では応募者の体験事実を掘り下げていわゆる「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」を聴きだしていきますが、今回の学生は、ここは良く話せており自己分析対策をやってきたのでしょう。しかし、その次に尋ねた志望動機では、不思議なほどに話せません。こうした学生が増えているのは、おそらく大学受験のように就活対策でやりやすいところから行ってきたからでしょう。自己分析は業界研究に比べて自分1人でできますし、どこの企業でも同じ話をしても大きな問題はありません。つまり点数の取りやすい(?)問題です。

 

それに対し、業界研究はデータを集めること自体に手間暇がかかりますし、更に分析して自分の意見(志望動機)にもっていくのも大変です。上記の学生は、自己分析を仕上げて時間がなくなってしまったのでしょう。または、企業によっては志望動機を聞かないコンピテンシー面接だけで行いますから、そうした企業が第一希望だったのかもしれません。業界研究は確かに大変面倒なものですが、要領さえ押さえられれば面白くなり、以下のようなステップで行えば大学で学ぶ分析手法とも同じです。

 

1.学生向けのデータ収集(就活本、企業セミナー等)           ⇒文献調査(一般情報)

2.社会人向けのデータ収集(ビジネス書籍、IR情報等)       ⇒定量調査(専門情報)

3.最新の現場動向収集(OB・OG訪問等)                   ⇒定性調査(先端情報)

 

大学で学ぶべきスキルにロジカルシンキングがありますが、それは事実を元に見解を述べるという点ではコンピテンシー面接や業界分析と同じです。最初に一般情報を得て問題意識を高め、専門情報を得て課題を発見し、絞り込んだ分野の先端情報を得て持論を展開するのです。

ところが多くの学生は一般情報の段階で時間切れになっているようです。加えて学生向けの就活情報が溢れて便利になったようですが、それは誰もが目にする一般情報なので志望動機にも個性がなくなります。逆に言うと、個性的な志望動機を作りたいなら他者と違うデータ(専門&先端情報)を入手すれば良いのです。これは大学のレポートや論文で求められるオリジナリティと同じです。

 

こうした情報の扱い方に悩む学生のことも考え、授業を通じて大学の学びと一緒に教えられないかと始めたのがビデオ教材を用いた授業です。このコラムでもご紹介して参りましたが、今年も研究会を始めます。ご関心のある方は、どうぞ一緒に勉強しませんか?

 

▼ご参考:7月15日(金)14:30~16:30、17:00~19:00

ビデオ教材研究会(2016年度 第1回)法政大学市ヶ谷キャンパス

https://docs.google.com/forms/d/1GwmEu7HGAfFzT1rsB8BVESjccNRuNEmyY4-MgkOFDf8/viewform?c=0&w=1&usp=mail_form_link

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