- 期末試験答案とエントリーシートの共通点-論外編
夏休みも後半となりましたが今回は採点後のちょっとした笑い話で、答案で見た漢字の誤用をご紹介します。真面目に考えると笑っている場合ではありませんが。
▼読みが似ている間違い
「コーチの知事がわからない」⇒貴方のチームに「指示」しているのは県知事か?
「リーダーとして指切らなければならない」⇒約束は指切り、会議は「仕切り」が大事だ。
「即先して行動できる」⇒「率先」なら即戦力になれたかも。
「見内のなかでは」⇒「身内」は確かに見える範囲だが。
▼字形が似ている間違い
「主張には自分の陣をもつべきだと思う」⇒君は戦国大名か?自分の「軸」は大事にね。
「区悪犯による殺人事件の放動を見ると」⇒「凶悪犯」の「報道」だろうね。
「自分の椎格を変えたい」⇒まずは正確に「性格」を把握しよう。
「認耐力は身についた」⇒その「忍耐力」は認め難い。
▼字義が似ている間違い
「部活が急しい」⇒相当に忙しいらしい。
「錠破りなことをした」⇒「掟破り」か?オーシャンズか?
「討議の決論に至った」⇒気持ちはわかるが大事なのは「結論」だ。
▼間違えた理由が謎
「違ちがえた字で違ちがえた表現をした」⇒「間違え」に目がちかちかする表現だ。
「実じつを踏まえて」⇒「事実」は小説より奇なりです。
「悪魔で書き手は人間であるから」⇒あくまで?手書き試験で何故こう書く?
私の期末試験は持ち込み不可の手書き(記述式回答)なので、スマホ等での誤変換ではありません。漢字の誤用は昔からありますが、今は誤用というよりは、そもそも漢字の理解の仕方が昔と違ってきているのかもしれません。使う言葉の意味を頭で理解してから使うのではなく、見たり聞いたりした視覚・聴覚の印象で体感的に捉えている感じです。
さて、このように答案採点をしてきて思うのは2020年度入試改革のことです。周知の通り、この改革プランでは記述式問題が課せられようですが、果たして試験官は上記のような誤用についてどのような判定を下すのでしょう。
期末試験採点ならば、教員は教え子に単位を取らせたいという好意的な主観を働かせるでしょう。しかし、大学入試では客観性・公平性が求められ、なおかつ指定された期間内に膨大な処理(採点)をしなければなりません。外部機関(アウトソーシング)や人工知能(AI)による支援も議論されていますが、そうなると主観的な判断より、基本的語句、語彙数、記述量で評価されるのでしょう。こうした誤用が見られるのも今のうちかもしれません。