先日、企業に内定した4年生が企画する、後輩のための就職支援イベントにゲスト・コメンテイターとして参加して参りました。集まった学生の内訳は、主催者スタッフの4年生が30名、これから就職活動を行う3年生が40名で、なかなかの盛況でありました。こういった先輩が後輩の就職活動を支援する風景は、数多く見られるようになり、企業が自社の広報活動の一助にするために、運営費用をスポンサーするということも珍しいことではありません。しかし、多くのサークルを見ていると、その活動コンセプトには差があるようです。
多くの主催者の方々からイベント趣旨を聴かせて頂き、あえて採用担当者の目で厳しく彼らのイベント趣旨(採用面接で言えば志望動機ですね)を評価してみると、私は下記の3レベルがあると感じております。
Aランク:就職マーケットや大学構造、社会体制を変えてやろうという意思がある。
Bランク:後輩のためを本当に思い、自分たちの体験談を話してあげる。
Cランク:後輩のためと言いながら、自分たちの自慢話になっている、またはイベント自体が目的。
Aランクの活動の学生達は、自分の置かれた現在の環境の問題を感じ取り、自ら働きかけて変えてやろうという志に溢れており、活動内容も大学や企業に正面から働きかけてきます。
Bランクの活動の学生達は、現在の環境に対して如何に上手に対応していくか、ということを考えながら後輩に対して自らの経験から手ほどきをしていきます。
Cランクの活動の学生達は、自分たちの活動自身に楽しみを感じているようですが、そのことについて彼らは無自覚で相手のためになっていると思いこんでいることがあります。
社会に対する問題意識を、肩書きに遠慮無く訴えることができるのは学生の特権であり、それを受け止めるのが社会人の役割なのでしょう。そういった元気な学生が増えて欲しいと思いますが、貴重な存在になりつつあるのかもしれません。学生時代には学生闘争に参加して現在は大学の構造改革に取り組んでいる血気盛んな大学教授からこんな言葉を伺いました。「我々は大学を必死に変えようと努力しているが、最近は肝心の学生が大学にコミットしてこない。」
就職イベントを主催する学生サークルからアドバイスを求められる時、私は必ず「それで社会をどう変えたいと思うのですか?」と問いかけます。例え小さなことでも、それこそが企業の採用担当者が求める学生の新鮮な視点であり、バイタリティなのですから。