第81号:新年は配属案の作成から

新年も始まり採用担当者もいよいよ慌ただしくなってきました。1月後半からは多くの大学が期末試験に入りますので、この機会を狙って内定者の配属案をつくりますが、これがなかなか大変な作業なのです。内定者を呼び出して配属面談を行い最終的な本人の希望調査を行ったり、一方では社内の現場の人員要求がどうなっているか再調査したりします。配属決定を入社後に行う大企業ほど、このマッチング作業に苦悩し忙殺されています。

最近は職種別採用が増えてきて、外資系企業のように新入社員の配属案が入社前から決まっている企業も増えてきましたが、全般的にみると入社後に配属を決定する企業がまだ多いです。特に今は超早期化の就職(採用)活動の時期なので、内定を出している時期にはとても配属案を固めることはできません。職種別採用で配属を特定できるのは、法務・経理等の大学の専攻を重視する分野に限られていることが殆どでしょう。つい先日、Professional Recruiters Clubの企業30社ほどで統計調査を行ってみたのですが、配属案の決定時期は以下のとおりでした。

・入社前             ⇒32%(21%の会社は職種別採用を導入)

・入社1ヶ月未満     ⇒25%

・入社3ヶ月まで     ⇒36%

・それ以降           ⇒ 7%

企業によって配属案の作成プロセスは異なりますが、採用選考プロセスでの情報を重視して決定している企業は入社前から入社1ヶ月までの57%(32+25)で、入社後に新人研修等を行い、その内容を重視して配属案を決定しているが43%(36+7)と見ることができるでしょう。

私自身も行っておりましたが、新入社員の配属案を作成するには後者の社内での研修や(仮配属での)仕事の様子をみて決める方が適性・能力を確かに把握できます。やはり採用選考という特殊で限られた時間内での情報ではなかなか本人の特性をつかむことは難しいのです。しかし採用の現場をみると、内定者にとって自分の配属部署は最大の関心事であり、そこがわからないので内定を辞退するという学生も居ります。職種別採用が導入された背景には内定辞退の防止があります。

採用担当者としてはできるだけ内定者の意思を重視してあげたいのですが、ベスト・マッチの配属案を作るのは至難の技です。最近の内定者は内定してから企業研究を詳しく行うので、内定決定時の希望と配属面談の希望とが大きく変化していることもあります。配属要求を多く出していた部署が突然に事業中断で人員要求がゼロになることもあります。「この内定者をどーするんだ!」と叫びたくなり、自分自身の配属異動(敵前逃亡)を考えたりします。

こんな時、ワールドカップのレギュラーを選びポジションを決めるジーコ監督の苦悩が身に染みてわかります。負けずに頑張らなくてはと思う新年なのです。

 

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