第82号:採用活動に関する大学との共同研究

人事労務を研究している都心の大学のゼミ学生と企業の採用活動に関する共同研究を行いました。3年ほど前にも一度行ったことがあるのですが、学生の作成した質問票(アンケート)にProfessional Recruiters Clubのメンバーが回答し、学生がそれを分析して報告・提言を行うものです。今回のテーマは「新卒早期離職者」に関するテーマですが、調査して見えたいくつかの傾向をお伝え致します。

このアンケートの回答数は30社と小規模でありますし、Professional Recruiters Clubという特殊(?)な集団でありますから、これをもって一般化することはできませんが、マスコミで言われていることとはちょっと違う面が見えております。ちなみに、Professional Recruiters Clubの特殊なところというと、手前味噌になりますが、人材採用に熱心で人材を消耗品とは考えていない“良い”企業です。グループで10万人を越える企業もあれば、全体で500人前後の小企業もあります。

学生が今回の「新卒早期離職者」というテーマを選んだ理由ですが、就職活動で先輩訪問をしたときに、すぐに辞めてしまったり、新人研修でひどい扱いをされたことを聞き、企業は採用活動と能力開発活動をもっと力を入れるべきだという問題意識からだそうです。(ちょっと耳が痛いです。)実際、今回の調査結果でも新卒早期離職者はやや増加との傾向が見られました。

さて、今回のアンケートから見られた傾向を3点ばかり紹介しましょう。

1.3年以内に退職している新卒社員は10%前後である。

⇒一般に言われている“3年3割”は全く当てはまりません。1年以内に退職する率となると、5%以下でした。マスの統計になると離職者の多い企業との総合計になりますので数字のインパク トが大きくなるのですね。

2.採用関係費用はバブル期並みかそれ以上になっているが、採用担当者数は削減されたままで人員増にはなっていない。

⇒今年の企業の採用意欲は旺盛ですが、採用担当者の予算(カネ)は増えたものの、人員(ヒト)は削減されたままで、IT化、アウトソーシング化、等によって対応されております。採用担当者の負担増が浮かび上がってきます。企業のセミナーを正社員が行わないというのもうなずけます。

3.新卒早期離職者はやや増加傾向にあるが、対策はまだなされていない。

⇒離職者数の数値がまだ低くて対応されていないのか、採用担当者の業務外と考えられているのか

は不明ですが、新規離職者への対応(リテンション対策と言います)今後の課題と思われます。

今回の研究ではアンケート調査だけではなく実際に企業を訪問してインタビュー調査も行いました。学生達にとっても机の上の学問が活きた学問に変わった良い経験であり、我々採用担当者にとっても刺激になりました。アンケートには他にもいろいろな発見があるのですが、今後もこういった調査を続け、機会があれば大学就職課にも公式にご報告できたらと思います。

 

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