第91号:中途採用化する新卒採用

「4月から始めたばかりで・・・」「先月、留学から戻ったばかりで・・・。」「40社回っていますが、まだ1次面接が一つも通りません・・・。」「今の内定先で本当に良いのか迷っています・・・。」等々。

これはある大学で開いた就職相談で同じ部屋に集まった学生さんの相談内容です。相談内容がかなり多様化していますが、これは企業採用担当者にとっては今後の採用活動は中途採用化するということなのです。

昨年と比較してこの時期の学生の相談はかなり多様化しています。しかし、よく聞いてみるとそれは相談内容の多様化というより、相談時期の多様化であるようです。就職シーズンが早期化し、いろいろな情報が溢れているものの、あまり気にしないマイペースの学生が増えてきたということでしょうか。今年は売り手市場だから慢心しているというよりは、4月になってからやはり就職しようとという気になったという目覚めの遅い学生が増えているようにみえます。

さて、学生の就職活動のスタート時期が多様化するというのは、企業採用担当者にとっては悩ましいことです。企業の採用活動は効率化(いかに速く安く応募者と出会えるか)との戦いで、上述のようにスタートする学生がまちまちになると、採用活動の始期も終期も定めにくくなり、五月雨式に対応しなければならなくなります。そういう視点では、日本の新卒採用環境(新規学卒採用)は世界でもまれに見る効率の良い市場だったのですが、その環境が変わってきたのでしょう。

このような環境では、現在のような大規模な就職セミナーや広報活動を行って効果の出るのは大手企業に限られ、無名・小規模の企業の新卒採用は中途採用と同様に通年化するでしょう。場合によっては、新卒採用を中止して本当に中途採用だけに切り替える企業も出てくるかもしれません。現状では如何に内定者が出せても辞退者が多く、採用活動自体が水泡に帰することになっていますから。

3年ほど前のメールマガジンで、「早期化・長期化・集中化・多様化・通年化」というテーマで書きましたが、これがいよいよ現実化してきたということですね。採用担当者にとっては辛いことなのですが、そもそも採用担当者が長期化・通年化にもっていったのですから、自業自得ということなんでしょう。

もっとも、高度成長期の人手不足の時期は新卒採用ができるのは大企業に限られていましたし、少子化という大きな流れが時代を元に戻したのかもしれません。かつて人気だったサラリーマン(正社員)の身分の安定性が、いま改めて求められてきたように。

 

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