第121号:改正雇用対策法の求人年齢制限禁止

この10月1日から施行された改正雇用対策法では、企業の募集・採用時の年齢制限の設定が禁止されました。米国では人種・性差別と同様に以前から法律で禁止されておりましたが、ようやく日本でも適用されたわけです。ところが、日本企業の雇用慣行の主流である新卒採用については例外として見送られ、新卒募集要項には応募資格に「××年卒業見込」という表記が許されています。

 

このような例外が認められたのは、今回の年齢制限禁止の狙いが中高年や30歳を超えた年長フリーターなどの就職機会を広げる点にあったためですが、新卒採用という日本独特の雇用慣行にはまだ社会的に合理性があるということなのでしょう。もしも、いま新卒採用に年齢制限が禁止されたら、学生と企業の双方にデメリットが生じます。

 

学生が卒業後いつでも企業に応募出来るようになると、既卒の方の経歴はかなり多様になるので面接選考にコスト(時間・手間)がかかります。実際、採用担当者で既卒(中途)採用に慣れている方もそうは多くありません。採用担当者も転職経験のある人の方が少ないですし、大企業では新卒と中途採用の担当者は完全に別になっていることも多いです。

 

もし、こういった現状を踏まえなずに新卒採用の年齢制限が撤廃されたなら、企業側に採用する意思がないのに採用される可能性があると考える応募者が増えてしまい、結果的に双方が無駄な労力を費やすことになります。法的な見地からは不公平なことですが、雇用機会均等法で女性差別が撤廃されても、未だに「一般職採用」が残っているのと同じです。(寧ろ、復活を喜ぶ学生・企業がある位です。)

 

しかし、それも時間の問題でしょう。というのは、少子化という人口構造が変化しない限り、企業はいずれ中途採用(年齢不問採用)に力を入れざるをえませんから変化は確実に進みます。既に、同じ既卒でも他社で良い職業経験のある「第二新卒」は人気の的になっており、水面下の奪い合いになっています。

 

あまりのんびりともしていられませんが、日本は欧米社会の短期契約関係とは違って長期信頼関係を重視する農耕型民族です。流血革命は苦手で世界からは遅れているように見られるかもしれませんが、雇用問題というのは民族の労働観や文化的な側面も大きく、優劣で語るものではないと思っています。

 

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