後期授業が開講し、大学内での就職ガイダンスが本格的に始まりました。多くの大学で企業合同説明会や就職活動に関するセミナーが開催されていますが、今年は非常に、というよりも異常に学生の動きが早いように感じます。
例年、この時期には大学に呼ばれて自己分析や業界研究等のセミナーを行っております。既に数校回っていて驚いたのは、例年と比較して参加学生が異様に多いことです。若干増どころではなく、2倍・3倍となっており、余裕をもって用意したはずの会場に受講者が溢れて大学職員の方が慌てております。売り手市場と言われる中で、学生の動きがスローになるならわかりますが、何故この様な動きになっているのかはまだわかりませんが、いくつか要因を想像してみます。
- 企業側の要因
・今年は企業の夏休みインターンシップが急増して学生に火を付けた。
⇒昨年と最も異なるのはこの点だと思います。学生と話していても夏のインターンシップに参加した学生が非常に増えています。
・インターンシップで仕事や企業の本質は理解していない
⇒今はOne-dayのような仮想的なインターンシップが多く、参加しても仕事の実態が理解されずに期待だけが膨らんでいます。(通常のインターンシップでは、現実を知って進路を考える学生も出ますが、最近はゲーム・イベント感覚で関心を高めるタイプが多くなっております。)
- 学生側の要因
・マスコミやメディアに影響されやすくなり、周りと一緒でないと安心出来ない。
⇒IT環境の進化等により、情報が高速大量に流れて今の若者は非常にマスコミやメディアの情報に敏感であると同時に、自分独自の判断で動く学生が少なくなっているように見えます。これは昨年から急に変化したわけではなく、IT環境の進化は90年代後半から始まった来ていることですが、企業からの採用情報がシーズン前から準備万端、満を持して配信され始めたのは今シーズンからです。(昨年はまだ業界や企業によってムラがありました。)情報が長期間大量に流れると、多くの人間は画一化された意識と行動パターンをとるようになります。企業の採用担当者が広報活動に全力を尽くすようになったのも全く同じです。
さて、シーズンが始まったばかりの今、この動向が何処まで続くかわかりませんが、先日の大学での内定者による就職体験談の司会を行ったとき、ちょっと感動した学生(有名企業内定者)がおりました。
「私は留学のため、実質、1ヶ月間しか就職活動はできませんでした。」
留学自体はもう珍しくはありませんが、このセリフを自信をもって発言した学生が光って見えました。もしかすると、この学生に内定を出した採用担当者も私と同じ印象をもったのかもしれません。就職活動は、最終的に自分と他者の相違点をアピールすることなのですから。