第190号:就活に苦労する子をもつ親世代

ようやく夏休み入り、蝉の声が静かな校舎に染み入る季節、と言いたいところですが、この時期はオープンキャンパス等でご多忙にされている職員の方々も多いことでしょう。キャンパスを歩いていると、高校生のお子さんを同伴の親子連れをよく見かけます。親が子供と一緒に将来を考えるというのは素晴らしいシーンですが、どうも我々、教職委員、そして採用担当者にとっても、親世代は鬼門となりつつあるようです。

 

つい昨日、私の携帯電話が鳴りました。私が就職支援を行っている地方大学の職員の方から急ぎの相談で、「いま、学生と保護者の方が一緒に就職相談にみえているのですが、どこかの企業採用担当者で、これから面接を行ってくれる方は居りませんか?」という切迫した状態です。数年前であれば、「それはお困りですね、では早速問い合わせてみましょう!」と、学生の要望を伺って採用担当者仲間に打診したものです。しかし、今は違います。皆様も同じ状況だと思いますが、こうしたケースはもう珍しいものでなくなってしまいました。

しかも、状況はますます深刻になってきたようで、こうしたケースで必死になっているのは親御さんの方で、当の学生さんは、ずっと黙って座っているような状態です。学生本人に「どんな企業や仕事が希望なんですか?」「何が原因で就職活動がうまくいかないのですか?」と尋ねてみると、横から親御さんは、「それはですね・・・」と解説する始末。口には出せませんが、(ああ、この家族もこの親御さんが原因なんだ・・・)と思います。

 

この根の深い問題は、とてもこの短いコラムで語れるようなものではありませんが、私が改めて身近に感じさせられたのは、先日、高校の同窓会で旧友たちと久しぶりの再会を果たした時です。多くの同窓生達が、ちょうど大学生の子供をもつ世代になってきていたのですね。近況報告で、私が企業採用担当者のコンサルティングや、大学でキャリア教育や就職支援をしているキャリアカウンセラーだと話した途端、何人かの友人達が「実は、うちの子が・・・」と相談にやってきました。その後、メールや電話でも「うちの子に会ってくれないか?」との連絡もありました。

 

ここで改めて感じたのは、この問題で本当に悩んでいる人も、我々、親世代なんだな、ということです。親はこの問題の原因であり、被害者でもあるのですね。しかも悩ましいことに、その親自身がこのことに無自覚なことが多いです。高校の友人には、その点を率直に言ってあげられるので良いのですが、これが大学の保護者だと気を遣います。

 

我々の世代は、我々の親世代と違って、大学卒業者が多数派になりはじめ、新卒で就職活動もそれなりに経験しています。だからこそ、一言をもつ人が多く、それが今の時代とズレているのを認めたがりません。(このズレに気づいている親は話が早いのですが、年はとりたくないものです。)

ともあれ、この難題に向かう第一歩は、筆舌し難い状況の家族も居りますが、その親御さんの苦悩を理解して、味方になってあげることなのでしょうね。対応を間違って、モンスターペアレント化でもされたら、それこそ夏の夜の怪談より恐ろしいことになりますから。

(追伸:多少、涼しくなりましたでしょうか?暑中お見舞い申し上げます。)

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