新年になり、各大学のみなさまにおかれましては、いよいよ就職活動支援の最盛期に入られる頃でしょう。今年も企業を取り巻く経済環境は厳しいと思われますが、企業の人材採用については手を抜くことなく、いろいろな試みが行なわれています。先日、新聞記事に大きく取り上げられた北海道大学と企業による「産学連携即戦力育成」という施策もそのひとつでしょう。
「即戦力」というものをどこまで学生に期待できるかは別として、採用した新卒人材を一日も早く戦力にするという考えから、できるだけ戦力に近い学生を採用する、という考えになってきているのは何処の企業でも同じです。とはいうものの、そういった人材と出会うことが難しくなっているならば、企業が入社前から育成してから採用するしかありません。
北大における試みは、いわゆる「寄付講座」の発展版になりますが、大学に民間で活躍した人材が入ることによって社会人のセカンドキャリアもできるし、結果的に大学と社会が近づくことになると思います。特にこのケースのようなIT業界では民間企業での技術革新が速く、企業の研究者を教育者として大学が取り込むことは意義が大きいでしょう。同じような試みが、理工系の分野だけではなく、社会系の分野においても増えてきて欲しいと思います。
これまで採用担当者の仕事は、ある意味、単調でワンパターンであり「季節労働」といわれておりましたが、そういった仕事はアウトソーシングにむかったりITで効率化され、今後はどの大学とどのようなリレーション作りをしていくか、という点に創意工夫を求められてくるでしょう。インターンシップのように企業が学生を受け入れる形、企業が学校へ人材を送り込んでいく形、はたまたトヨタ・中部電力・JR東海のように学校そのものを作ってしまう形、こういった人材育成を通じて採用活動につながるような仕組みを考えるのがこれからの人事採用担当者の仕事です。学校と社会の接点である、就職担当者と採用担当者がお互いに知恵を出しながら、有機的な関係を考える新しい1年になることを祈っております。本年も宜しくお願い致します。