第253号:倫理憲章に望むたった1つのこと

経団連が倫理憲章を見直す意向をみせてくれました。この話題についてまたいろいろな声が聞こえますが、あまり多くのことを倫理憲章に期待しすぎているのではないかと思います。私は倫理憲章に、日本を代表する経営者たちに望むのはたった1つで良いと思います。それは多くの企業がまさにいま新入社員に厳しく指導しているコンプライアンス、「人に迷惑をかけるな!」です。

 

倫理憲章をちゃんと読めば、そこに謳われているのはすべて「学生・大学に迷惑をかけるな!」ということがわかるはずです。つまり以下の2点です。

 

1.学生の就職活動の遵法

2.大学の学習環境の尊重

 

学生に対して不法な採用選考(人権侵害の面接、脅迫まがいの誓約書・不当拘束、 etc.)や、大学の学習環境の侵害(早期化、授業時間中の選考呼び出し、 etc.)をしない、ということです。「学生の便宜をはかる」や、企業側の都合である「採用活動の便宜」は含まれていません。

 

だから経団連の方がおっしゃる、「活動期間が短くて就職できない学生が出たらどうするのか」、「学生の声は聴いたのか」などは、極端に言えば余計なお世話です。百歩譲って上記の「人に迷惑をかけるな!」をちゃんと守ってから行うべきことです。

 

「中小企業の採用活動にも配慮すべきだ」という企業同士の便宜(これを大企業経営者が本当に思っているのかは疑問です)も企業間の勝手です。中小企業は、大企業の動向が決まれば、それに合わせて対策をたてますし、そもそも大企業と違って1年も前に人員計画は立てにくいです。

 

「新卒一括採用は限界だ」というコンサルタントの方も居られますが、それも上記と同じく、倫理憲章の目的を考えたら的外れです。世の中には新卒一括採用に向いている企業(主に大企業)と向いていない企業(主に中小企業)があるのですから。

 

外資系に優秀な学生を先に取られるというのも、企業側のご都合です。それが心配なら、何処でも同じような採用活動ではなく、オリジナルの企画すれば良いし、それこそが採用担当者の本業のはずです、

 

学生の中には「倫理憲章は学生不在だ!」と主張する人が居ます。青年の主張には聞く耳を持ちたいですが、採用担当者として伝えたいことは、以下の2点です。

1.内定する学生は、環境を理由にせずその対応策を考える人が多い。

2.この程度の波風は、社会にでたらいくらでもあるし対応するのが社会人。

 

ということで、経団連の方には、まず倫理憲章を良く読んで原点を理解して欲しいと思います。学生の就職支援はその後にして頂けるようにお願いしたいものです。

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