第254号:現場採用担当者の悲哀と不採用通知

企業の「求める人材像」が明確ではない、とは本当に良く言われることですが、採用担当者自身も同じ想いにかられることがあります。それは、自分が良い人材だと思ったのに次の選考者(上司・役員)からダメ出しを受けたときです。自分が否定されたような気がしますが、それは学生が不採用連絡を受けたときと同じ気分でしょうね。

 

まだ採用選考経験の日が浅い面接者ならば、「ああ、そうした点を見なければならないのか!」と自分に欠けている自社の「求める人材像」の理解と受け止められますが、それなりの現場経験をもった面接者にはショックです。自信をもって提出した自分自身の提案が却下されたということですから。

 

選考の初期段階である、基本的な資質(筆記試験、語学力、成績等)の部分であれば、客観性があるので納得できますが、最終選考で役員からダメ出しをうけた時には憤ります。特に近年の最終選考では、以前のような顔見せ確認のように殆ど内定を出すようなものではなく、最終選考でもかなりの応募者が不採用になってきますから。学生も落ちこみますが、現場採用担当者も落ちこみます。

 

これは企業によって異なりますが、最終選考(通常は役員面接)に加わったことのある現場社員は少ないと思います。特に大企業で一次面接だけを担当している若手採用担当者は、直属上司(人事部長・課長)から結果と簡単なコメントを聞かされるだけで、役員がどんな質問をして、どんな評価をしたかを詳しく知らされることは少ないものです。役員から「人間力が弱い」「コミュニケーション力不足」「社風に合わない」と簡単に言われても、正直、社員だってよくわかりませんよね。(役員からのコメントはシンプルなものが多いのです。)

 

上司の説明をむなしく聞きながら、最後に行うのは不採用通知の発送です。内定ならば喜んで電話連絡しますが、不採用連絡を直接話すのは辛いものです。不採用通知を郵送(メール)にしながら、不採用者の応募書類と自分の気持ちを整理します。そんな採用担当者の悲哀が怒りに変わる時があります。それは内定受諾をした学生が辞退した時ですね。その怒りの内容は、辞退者自身の心変わりに対するだけではなく、「コイツが居なければ、俺の一押しのアイツが通ったのに!」と2~3倍になるわけです。

 

ところで、この不採用通知ですが、できれば採用担当者はしたくないと思っています。それは連絡がが面倒くさいということではなく、上記のような理由で、内定辞退者がいつ出るかわからないからです。もし辞退者が出たときに、不採用の連絡をしていない最終選考済の応募者がいたら、すぐに繰り上げて内定連絡ができるからです。だから、たまに最終選考から2~3週間も経ってから内定連絡があった、という事態がおきるわけです。

 

大学と違って、企業で「補欠採用」という手段をとっているところはまずありません。今はだんだん少なくなってきましたが、「選考結果はご縁があった方にのみお伝えします。」という対応の向こうにある採用担当者の状況と気持ちをわかって頂けると有り難いですね。

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