第275号:大学講義で鍛えられる会話力

採用面接でよくあることですが、丸暗記したことをそのまま話すのは御法度ですね。面接に慣れていない学生が練習のために行うなら問題はありませんが、早く「記憶再生モード」から「会話モード」に入って欲しいものです。採用担当者が丸暗記を嫌うのは、応募者の能力が測定できないからです。(逆に言えば、丸暗記の記憶再生を行う応募者はNGと判定できますが。)

 

「会話」からはいろいろな能力がわかります。知識や関心の広さ、機転や頭の回転の速さ、相手への気遣い等々。脳科学者の茂木健一郎氏によると、会話で使われている脳は、聞いている時と話している時では以下の通りに異なるそうです。

 

・聞いている時 ⇒ ウェルニッケ野の感覚性運動野(感覚系学習回路)

・話している時 ⇒ ブローカ野の運動生言語野(運動系学習回路)

 

この2つ回路は脳の中ではつながっていないため、相互に繰り返して使うことで「会話」ができているそうです。これでおわかりのとおり、採用担当者が丸暗記を嫌うのは、どちらか一方だけしか使えない人を避けたいからです。仕事というのは常にいろいろな業務がやってきて、優先順位を考えながら進める必要があります。「1つの事に夢中になると周りが見えない人」は困るのです。

 

翻ってみると、大学生は授業でこうした脳の使い方を鍛えられているでしょうか?教員が同じトーンで淡々と話していると、感覚系の学習回路しか鍛えられませんし、それ以前に活動停止してしまうかもしれません。脳は飽きっぽくて常に新鮮な刺激を求めているそうですから。

 

実は私の授業ではこうしたの脳の使い方を鍛えています。200人を相手にしている講義型の授業でも、数分に一回、問いかけを入れて受講生の運動系の学習回路を動かします。学生が応えられなくても問題ありません。大事なことは、ほんの一瞬でも脳の回路を切り替えさせることです。面白いもので、最初は何も答えられない受講生達が、何回かの授業を繰り返して行くうちに、だんだんと回答ができるようになってきます。

 

大学でキャリア教育を行うようになって数年が経ちましたが、私は採用&能力開発担当者時代に求めていたことを授業で学生に求めていることに気づきました。良い授業というものを考える時、自分自身の教員としての話し方を向上させるだけではなく、受講生の聴き方と話し方、つまり授業の受け方や会話力を鍛えるという視点がとても大事だと思っています。それは採用選考でも就職後でも活かせる脳の使い方を鍛えることですから。

 

以下、参考サイトURL:

▼「脳を活かす伝え方、聞き方」茂木健一郎(PHP新書)

http://www.amazon.co.jp//dp/456981669X/

▼参考URL:法政大学産学連携3D教育プロジェクトシンポジウム案内(私の授業についても話します。)

http://3dep.hosei.ac.jp/event/details/2014/02/18/id3200

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