3月に入り、いよいよ企業の採用活動も本番です。エントリーシートを提出して返事を待っている応募者にも結果が出始め、面接のスケジュールが通知されはじめました。企業では一斉に広報活動から選考活動に入り、街ゆく学生さんの顔つきも企業セミナーの時期より心なしか緊張感が高まっているようです。多くの企業が動き出している中で、いつもと違う動きを見せている企業も出てきました。
ここ数年、就職シーズンは「早期化」と「長期化」の傾向にあることはご周知のことですが、昨年はそれに加えて選考時期の「集中化」がおきました。1~2月の広報活動の後、3月に多くの企業が選考活動を始めたため、応募者においては面接スケジュールが重複し、多くのエントリーを行っていた学生は日程調整に非常に苦労しました。その結果、広報活動時には学生からのエントリーを十分に集められたと安心していたところ、いざ蓋を開けてみると欠席が多く、面接応募者を集められなかった企業が続出しました。昨年、選考活動の時期にも多くの学生を惹きつけられた企業は、広報活動からこまめにいろいろなメールを送ったり、インターネット上でのコミュニケーション活動(バーチャルOB訪問等)を行ったり、応募者との距離が離れないように配慮していたそうです。
今年は、そういった企業の更に先を行こうと1月から選考を始めた企業もあれば、逆に3月~4月の選考集中期に第一希望の企業を不合格になった学生を狙って、今から5月~6月の募集があることを告知し始めた大手企業も出てきています。また採用選考方法も、通常の面接をやめてインターンシップ応募だけに切り替える企業が出てきており、今年の企業の採用活動は選考時期と選考方法に「多様化」の傾向が出てきているようです。
こういった企業が増えてくると、これから採用市場の「通年化」が起きてくることが予想されます。「通年採用」という意味は、一企業において新卒採用と中途採用の区別が無くなり募集人員が出た時だけ求人を出す、良い人材を見つけた時だけ採用を検討する、というやり方を指してきましたが、今後は年間を通して採用活動を行っている企業が就職市場に居る、という意味に考えた方が良いのかもしれません。学生にとっては選択機会が増えることになりますが、ストレスに耐えて視野を広げるという能力が求められてくるでしょう。マラソン・ランナーのように頑張って欲しいものです。