第293号:採用担当者による新講義「働くための法律知識」

前回、女子アナウンサーの新卒採用内定取消問題を取り上げました。労働法を考えるうえでは参考になる事例なので、授業でグループ・ディスカッションのテーマにしてみたところ、過半数の学生が曖昧ながら内定者に問題がある、という回答でした。実際の訴訟の行方はさておき、学生の法律知識(意識)を向上させる必要性を感じました。

 

というわけで、以前からやってみたいと思っていた「働くための法律知識」という講義を、採用活動経験のある社会保険労務士と一緒に作ってみました。日本の雇用の実態は、法律よりも信頼によって運営されてきた(いわゆる日本型雇用)のですが、21世紀となって、企業に正社員を守る余裕がなくなり、非正規雇用が3割になった昨今、最低限の身を守る法律知識は就業者にとって必須でしょう。

 

しかし、一口に労働法といっても、現在は関連法規も多く、その全てをカバーすることは難しいです。しかも法学部ではない学生にとっては、法律という概念そのものがなかなか理解できません。そうした場合は、TV番組のように、分かりやすい事例研究(判例のケーススタディ)が一番です。今回、作った事例研究は以下のようなものですが、実践してみたところ、評判は上々でした。

 

・遅刻、残業拒否、配置転換拒否で解雇された従業員

・妊娠出産を理由に降格・減俸された女性従業員

・内定取消で勝訴(敗訴)した従業員

 

また、労働法ではありませんが、大学生がネット上で風評被害を起こして損害賠償を請求されたケース、なりすまし情報操作の事例などをとりあげました。今後、ブラック企業や就活学生を狙った悪質な就職塾勧誘ビジネス(つい先日も大学の近くで店を広げていました。)も扱って参ります。

 

この授業では、単なる法律知識だけではなく、社会人としての「権利と義務とキャリア形成」をしっかり伝えたいと思っています。権利を主張するばかりではなく、企業が守ってあげたくなる(大事にしたくなる)社員に成長すること、企業は学校ではありませんが、自ら成長する機会に溢れていることを理解させたいです。

 

そしてこの後、企業人事の採用担当者にこうした口座の講師になってくれないかと持ちかけてみようと思っています。採用活動後ろ倒しでやることが思いつかずに困っている採用担当者にとっては、学生と触れ合う機会にもなりますし、プレゼンテーションもうまくなり、更には採用担当者自身の法律に対する意識やコンプライアンスを向上させることができるのではないかと思います。

 

 

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