昨年末から企業のインターンシップ参加を理由に授業を欠席する学生がポツポツと出ています。思わぬところで企業採用活動の進行を垣間見ているわけですが、就活「後ろ倒し」の今年度は相当に採用担当者も混乱することでしょう。それは変革に必要な痛みだと思いますが、今後の新卒採用担当者の業務は、リクルーター、インターンシップ、キャリア教育、アウトソーシングの4つに集約されそうな気がします。
この4つの業務は、4つのメディアと言う事ができます。既存の紙媒体からネット媒体、そしてヒト媒体への移行です。企業の採用活動は業界や規模でまちまちなので、全体が一斉に同じ手法に動くとは限りませんが、ヒト媒体というメディアは、マスメディアと違って以下の特徴があります。
1.選択性 ⇒ターゲットリクルーティング
2.秘匿性 ⇒シークレットリクルーティング
3.信頼性 ⇒ダイレクトリクルーティング
狙った人材を(選択性)、こっそりと(秘匿性)、高い精度で(信頼性)採用する、ということで、特にリクルーターとインターンシップに当てはまります。この二つの業務は、今がまさに花盛りで、採用広報を後ろ倒しにされた企業が必死に取り組んでいます。ヒト媒体は、マスメディアと違って直接に学生とコンタクトできるので、そのやりとりから自然と採用選考情報が入るので精度(信頼性)も上がります(苦労して見つけた人材が必ずしも入社してくれるわけではありませんが)。
キャリア教育は、大学のコーオプ教育と連携することで大学に入り込むことです。これは企業単独で動くわけにはいかず、大学との何らかのチャネルがあって初めて実現できますから実施可能な企業は限られます。文科省指導でキャリア教育導入を求められている大学などは、お互いに渡りに船ですが、うまくコーディネートできる大学教職員との出会いがないと実現は困難です。なお、企業は本気で社会貢献と考え、採用部隊ではない企業人が担当したとしても、学生への企業認知度理解や学生の能力把握は自然と進みます。
アウトソーシングは、新卒人材採用の活用です。昨年もこのメルマガで新卒人材紹介の可能性には触れましたが、多様で面白いサービスが出てきています。NHKでも取り上げられた「ワイルドカード社」の他社内定者横取りサービスは企業人事部からの評価も高くて急成長しており、同業他社も追随する動きがあり、これまで人材紹介を新卒で使うことに抵抗のあった企業も、変革期には導入してきそうです。採用ノウハウがなく、「後ろ倒し」で採用難になるといわれる中小企業では、元々、採用ノウハウも採用予算も少ないので、アウトソーシングのような成功報酬型は相性が良いのです。
採用選考が「後ろ倒し」初年度の今年は、学生の就活時期が長くなり、景気上昇局面もあいまって、複数内定を取る学生が増えると予想されます。一つ内定をとったらドンドン上を目指したいのが応募者の心理で、その時間が十分与えられたわけですから。というわけで、冒頭で述べた通り今年度の採用・就職活動は相当に混乱しながら新しい手法が出てくる時期かなと思います。