第311号:フリーライダーの成れの果て

大学教育では、「アクティブラーニング」が盛んにいわれています。座学だけではなく能動的な学習が大事だという点には異論はありませんが、運営するには準備やノウハウが必要でなかなか大変です。その課題の中には「フリーライダー(ただ乗り)」があります。これはこれまでの大学教育では出てこなかった大きな課題ですが、うまく指導できれば良いキャリア教育となります。

 

「アクティブラーニング」が出てくると「フリーライダー」が大きな問題になるのは、アクティブラーニングではグループワークを導入することが多いからです。経産省が主張する社会人基礎力にもある

「チームで働く力」の養成のためですが、残念ながら大学の授業はそれを養成するようにはできていません。(そもそも成績表に「チームワーク力」という項目がありませんし、大学教員もチームワークは苦手そうです。苦笑)

 

一方、社会では逆で、コミュニケーション力を発揮してチームワークができなければ仕事は進みません。それが如何に求められているか、そして学生のチームワーク力が如何に低下しているかは、多くの企業が採用選考にグループワークやグループディスカッションを導入していることからもわかります。

 

企業の中にも昔から働かない人は「給料泥棒」などと言われており存在していましたが、以下の理由であまり目くじらを立てられませんでした。

1.体を使う仕事が多かったのでサボると目立ってしまう

2.個人の成果より組織の成果が優先だった

3.個人の業績を測定する意識や手法がなかった

 

ところがこれらの理由が、ITの進化でPCに向かうようになり、個人の目標管理が設定されるようになり、個人の成果に応じて評価するようになってきたため、周りの人への気遣いがだんだんと忘れられてきたようです。政府が勧めるメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へ移行していくと、この傾向はますます加速されるでしょう。その結果、企業においてもフリーライダーが注目されてきて、書籍や雑誌にも扱われるようになってきました。

 

社会を見ていても、こうした周りを気にしない人は増えていますね。電車の中でミュージックプレーヤーでヘッドホンをシャカシャカ鳴らしている人、真剣に化粧している女性、等々。

先日、ある企業採用担当者からもこんな話しを伺いました。経理部長が部下について嘆いていたそうです。仕事もろくにできない社員が事務所でスマホばかりいじっているので注意したところ、次の言葉が返ってきたそうです。

「誰に迷惑をかけているわけじゃないから、いいじゃないですか。」

 

こんな社会人にしないためにも、アクティブラーニングは真剣に取り組まなければなりませんね。

 

▼参考文献「フリーライダー あなたの隣のただのり社員」渡部幹(講談社現代新書)

http://www.amazon.co.jp/dp/4062880563

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