第194号:4年の夏から始まる採用選考

10月になり、就職活動&採用活動が動き始めました。いつの間にか、この異常スケジュールが日本の普通の感覚になってしまったのは残念ですが、やっと企業が改善に向けて動きました。総合商社の4年の夏から始める採用選考のニュースです。私は歓喜をもって受け止めましたが、さて、この動きは何処まで広がることでしょう?

 

このニュースで残念なのは2013年卒からが対象だということです。是非、2012年卒から始めてほしかったです。2013年卒からとなったのは、私の察するところ、できるだけ多くの企業を巻き込みたかったからではないかと思います。というのは、既に殆どの企業は2012年卒向けの仕込み(広報活動等)を済ませて採用活動に入っておりますから。特に大企業ほど修正がききません。実際、報道によると、消極的な業界もありますし経団連の反応もいまひとつです。

 

しかし仮に、有名総合商社だけの動きだとしても、是非、進めて欲しいものです。業界のリーディングカンパニーが動けば、他企業にも多少のインパクトはあることでしょう。また同時に、リーディング大学にも呼応して戴いて、「学生の学習環境を守るために、我が大学の就職ガイダンスは全て4年の4月から始めます。」と宣言して欲しいものです。

 

ところで、この動きの理由とされているのは、採用活動の早期化によって「学生の本分である学業が妨げられている」ということです。では企業の採用活動が遅くなることによって、肝心の学生はこれで勉強に打ち込んでくれるようになるのでしょうか?学力や人間力は向上するのでしょうか?

 

今回の採用活動の後ろ倒しには、企業が学生に対して「しっかり学べ!採用選考で自信をもって語れるような学生生活を過ごせ!」というメッセージが含まれていると思います。

 

逆に企業に問いかけてみたいのは、採用選考で「大学で教えていることをしっかり評価してくれるのですね?それを見る目があるのですね?」ということです。

 

更に大学にお願いしたいのは、「学校推薦や学生の成績評価は、本当に信じて良いのですね?」ということです。

 

私は現在、企業側の採用活動支援も、学生側の就職活動支援も、そして大学教員も生業としておりますので、未熟者ではありますが、それぞれの事情をわかっているつもりです。異常な事態が常態化してしまった就職・採用活動を、それぞれが相手に対して要求するばかりではなく、まずはそれぞれが、それぞれの本分をしっかり見直して自ら行動を起こすべきではないでしょうか。

 

企業がやっと重い腰を上げたのです。この動きが広く世の中に受け入れられるように祈っています。

 

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